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JAK阻害薬が作用するメカニズムを徹底解説|JAK阻害薬の適応疾患も詳しく紹介

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JAK阻害薬が作用するメカニズムを徹底解説|JAK阻害薬の適応疾患も詳しく紹介

「JAK阻害薬はどうやって作用しているの?」
「JAK阻害薬が用いられている疾患は?」
このような疑問を持っている人は少なくないのではないでしょうか。

本記事では、炎症の概要やJAK阻害薬が作用するメカニズムについて徹底解説。
JAK阻害薬の適応疾患についても、病態・症状・治療法を詳しく紹介します。

本記事を読めば、JAK阻害薬や適応となる炎症性疾患・腫瘍性疾患について理解を深められます。
興味がある人はぜひ最後までご覧ください。

炎症とは?

私たちは常に感染症や外傷の危険に脅かされており、時には身体の組織が傷害されることがあります。
この時、有害因子を取り除いて組織を修復していく過程が炎症です。
炎症には、「マクロファージ」や「マスト細胞」などの免疫細胞の他、「メディエーター」や「サイトカイン」と呼ばれるいくつもの物質が関わっています。

有害因子の除去と組織修復という目的を果たすため、局所的に以下の変化が起こります。

血管拡張 血流を増加させ組織の代謝を亢進させて修復を促すため
血管透過性亢進 免疫や修復に関与する物質が障害された組織に移動しやすくするため

※血管透過性:血管と周囲組織との間で物質が移動する性質

これらの変化の結果、以下のような症状が生じます。

  • 発赤
  • 熱感
  • 腫脹
  • 疼痛

以上の4症状はまとめて、「炎症の4徴候」と呼ばれています。

このように、炎症は私たちの身体を守るために備えられているシステムです。
しかし、起こる必要のない炎症が発生してしまい、炎症の4徴候により私たちが苦しめられることもあります。
そのような炎症による疾患(炎症性疾患)に対して用いられているのが、本記事で紹介していくJAK阻害薬なのです。

JAK阻害薬が作用するメカニズム

炎症が拡大するためには、細胞レベルでのシグナル伝達(情報伝達)が欠かせません。
シグナル伝達には多くの物質が関与していますが、その一つが「JAK」です。

炎症において、免疫細胞から放出されたサイトカインは、細胞を覆う細胞膜に存在している「サイトカイン受容体」に結合します。
サイトカインの受容体への結合により、細胞内に存在するJAKが活性化します。

活性化したJAKが作用するのは、同じく細胞内に存在する物質「STAT」です。
JAKの作用によりSTATが活性化すると、細胞における遺伝子発現が亢進します。

※遺伝子発現:遺伝情報に基づくタンパク質の合成

遺伝子発現の亢進は、免疫細胞のさらなる増殖や活性化、サイトカインの産生亢進に繋がります。
その結果、炎症がより活発になっていくのです。

JAK阻害薬には、JAKに結合することで活性化を抑制する作用があります。
JAKの作用減弱により、STATへのシグナル伝達が抑制され、遺伝子発現も抑えられます。
そのため、抗炎症作用を発揮できるのです。

また、JAK阻害薬は炎症性疾患だけでなく、いくつかの腫瘍性疾患(細胞の異常な増殖による疾患)に対しても用いられています。
この場合も、JAK→STATというシグナル伝達を阻害することで、細胞増殖を抑制しています。

JAK阻害薬の適応疾患:①関節リウマチ

参考サイト
JAK阻害薬について|種類・利点・副作用・治療費|シーズンズ東京リウマチクリニック

関節リウマチについて以下の観点から解説していきます。

  • 病態
  • 症状
  • 治療法

それぞれについて見ていきましょう。

病態

関節リウマチとは、全身の多関節に炎症をきたす疾患です。
より厳密には、関節構造の内部にある「滑膜」という組織で炎症が発生しています。

炎症により増殖した滑膜は、次第に骨や軟骨を浸食していきます。
その結果、骨・軟骨や靭帯などの周囲組織が破壊され、関節の機能が低下していくのです。

症状

関節リウマチでは、主に以下の関節で炎症が起こります。

小関節 手関節、手指関節(MP関節・PIP関節)、足趾関節(母趾MTP関節・PIP関節)
大関節 環軸関節、肩関節、肘関節、股関節、膝関節、足関節

また、以下のように様々な関節外症状もみられます。

上強膜炎、強膜炎、ドライアイ、乾燥性角結膜炎
間質性肺炎、肺線維症、胸膜炎、胸水貯留
心臓 心膜炎
腎臓・消化器 続発性アミロイドーシス
神経 手根管症候群
皮膚 リウマトイド結節
全身症状 貧血、発熱、全身倦怠感、易疲労感、体重減少

治療法

関節リウマチに対して用いられている主な治療薬は以下の通りです。

  • 免疫抑制薬
  • JAK阻害薬
  • TNF-α阻害薬
  • IL-6受容体阻害薬
  • T細胞共刺激阻害薬

薬物療法の効果が不十分である場合は手術療法も検討されます。

JAK阻害薬の適応疾患:②アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎について以下の観点から解説していきます。

  • 病態
  • 症状
  • 治療法

それぞれについて見ていきましょう。

病態

アトピー性皮膚炎とは、アレルギー性および非アレルギー性(引っ?きなど)の機序により炎症が起こる疾患です。
発症しやすい素因を持つ人は以下の通りです。

  • 気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎の家族歴・既往歴
  • 「IgE」という抗体を産生しやすい遺伝子型

これらの素因を持つ人は、アレルギー反応を起こしやすいことがわかっています。

皮膚に生じた炎症は強い痒みを引き起こし、?き続けてしまう患者さんが少なくありません。
その結果、皮膚に備わっているバリア機能が異常をきたし、炎症が起こりやすくなります。
このように悪循環に陥ってしまうため、アトピー性皮膚炎は難治性と言われています。

症状

アトピー性皮膚炎の症状は、乳幼児期に生じ始めるケースが多いです。
具体的には、以下のような場所に痒みがよく起こります。

  • 顔面
  • 頚部
  • 四肢屈曲部

全体としては、加齢とともに改善していく傾向にあります。
しかし、成人になってもなお、慢性的に症状が続く場合も少なくありません。

治療法

アトピー性皮膚炎の治療として主に以下が行われます。

スキンケア 保湿剤、皮膚の清潔保持
炎症制御 ステロイド外用薬、タクロリムス軟膏、JAK阻害薬外用
痒み対策 抗ヒスタミン薬内服

JAK阻害薬の適応疾患:③乾癬

乾癬について以下の観点から解説していきます。

  • 病態
  • 症状
  • 治療法

それぞれについて見ていきましょう。

病態

皮膚の表層を構成している表皮は4層から成り立っており、以下の順に表皮の細胞である「角化細胞」が移動します。

(内部側)基底層→有棘層→顆粒層→角層(表面側)

この移動の流れを「角化」と言い、角化が完了して垢として脱落するまでの時間を「ターンオーバー時間」と言います。

乾癬とは、炎症反応により角化細胞の増殖能力が亢進し、ターンオーバー時間が短縮する疾患です。
引き起こす要因として遺伝因子の他、ストレスや薬剤、感染症や喫煙などの環境因子が挙げられます。

症状

乾癬の症状は、銀白色の厚い鱗屑(白いかさぶたのようなもの)を伴う境界明瞭な紅斑です。
紅斑は全身でみられる可能性がありますが、特に頭部・四肢伸側・臀部でよくみられます。

その他、以下のような現象が特徴的です。

ケブネル現象 症状のない部位に刺激を与えると症状が出現する
アウスピッツ現象 症状のある部位をこすると容易に?がれ、さらにこすると出血する

治療法

乾癬の治療として主に以下が行われます。

外用療法 ステロイド、活性型ビタミンD
光線療法 PUVA療法、NB-UVB療法
内服療法 レチノイド、シクロスポリン、メトトレキサート、PDE4阻害薬
生物学的製剤 TNF-α阻害薬、IL-23阻害薬、IL-17阻害薬

JAK阻害薬の適応疾患:④潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎について以下の観点から解説していきます。

  • 病態
  • 症状
  • 治療法

それぞれについて見ていきましょう。

病態

潰瘍性大腸炎とは、大腸粘膜に発生するびまん性の炎症性疾患です。
病変は直腸(肛門に繋がる部分)から始まり、連続性に広がっています。

発症要因として、遺伝的因子の他に以下のような環境因子・心理学的因子が挙げられます。

  • 高脂質・高糖質の食事
  • 細菌やウイルスへの感染
  • NSAIDsや経口避妊薬などの薬物
  • 人間関係などでのストレス

これらの要因をもとにして、再燃と寛解を繰り返す経過が特徴です。

症状

潰瘍性大腸炎では主に以下の症状がみられます。

  • 繰り返す粘血便
  • 下痢
  • 腹痛
  • 発熱
  • 体重減少

最初の症状として、粘血便がみられるケースが多いです。

また、以下のような合併症が起こる可能性があります。

腸管合併症 中毒性巨大結腸症、大量出血、腸管穿孔、サイトメガロウイルス腸炎、大腸癌(長期経過例)
その他の合併症 虹彩毛様体炎、アフタ性口内炎、関節炎、原発性硬化性胆管炎、結節性紅斑、壊疽性膿皮症

治療法

潰瘍性大腸炎に対しては、以下のように様々な薬剤が用いられています。

  • アミノサリチル酸製剤
  • 副腎皮質ステロイド
  • 免疫抑制薬
  • 抗TNF-α抗体製剤
  • JAK阻害薬

薬物療法で寛解を得られない場合や重大な合併症をきたした場合は、手術療法に踏み切ることもあります。

JAK阻害薬の適応疾患:⑤骨髄線維症

骨髄線維症について以下の観点から解説していきます。

  • 病態
  • 症状
  • 治療法

それぞれについて見ていきましょう。

病態

骨髄線維症とは、血球(赤血球・白血球・血小板など)を産生している骨髄が線維化してしまう疾患です。
線維化の背景には、造血幹細胞の異常な増殖によるサイトカインの分泌があります。
サイトカインに「線維芽細胞」という細胞が反応して増殖し、骨髄がどんどん線維化されていくのです。

※造血幹細胞:赤血球・白血球・血小板などのもとになる細胞

症状

骨髄線維症の主な症状は以下の通りです。

  • 貧血
  • 巨大脾腫
  • 肝腫大

巨大脾腫や肝腫大により、腹痛がみられる場合もあります。

治療法

骨髄線維症に対する根治的な治療法は、造血幹細胞移植しかありません。
しかし、実際の患者さんは高齢者であるケースが多いため、造血幹細胞移植が行われることは少ないです。

対症療法として、主に以下が行われます。

無症状 経過観察
貧血に対して 蛋白同化ステロイド、輸血
脾腫に対して ハイドロキシウレア、JAK阻害薬、脾照射

JAK阻害薬の適応疾患:⑥真性赤血球増加症

真性赤血球増加症について以下の観点から解説していきます。

  • 病態
  • 症状
  • 治療法

それぞれについて見ていきましょう。

病態

真性赤血球増加症とは、骨髄の造血幹細胞が異常に増殖し、全血球数が増加する疾患です。特に、赤血球の増加が顕著にみられます。
95%以上の症例で、「JAK2遺伝子」の変異が認められています。

症状

真性赤血球増加症では主に以下のような症状がみられます。

赤血球増加による血液のうっ滞 頭痛、めまい、赤ら顔、高血圧、血栓症
白血球増加による高ヒスタミン血症 皮膚の痒み、消化性潰瘍
赤血球を処理するための脾機能亢進 脾腫

治療法

真性赤血球増加症に対して以下の薬剤が用いられています。

  • 低用量アスピリン
  • ハイドロキシウレア
  • インターフェロンα
  • JAK阻害薬

これらの治療は、脳梗塞や心筋梗塞といった血栓症の予防を主な目的としています。

まとめ:JAK阻害薬で炎症性疾患・腫瘍性疾患を治療しよう

炎症とは、有害因子を取り除いて組織を修復していく過程のことです。
炎症のシグナル伝達にはJAKが関与しており、JAK阻害薬を使用することで抗炎症作用を発揮します。

JAK阻害薬の適応疾患は、関節リウマチやアトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎や骨髄線維症などです。
JAK阻害薬を用いて、炎症性疾患・腫瘍性疾患を治療しましょう。

このコラムの執筆者

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岩島 梨絵子
薬剤師
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2005年より精神科・神経内科領域を中心に薬剤師として臨床に従事。

2018年からはWebメディアで実践的かつ生活に役立つ情報を発信。

依存症やメンタルヘルスといった社会的課題にも取り組み、幅広い視点で啓発活動を展開。

専門的知見をわかりやすく伝えることで、読者の理解と安心に貢献することを目指している。

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