欠神発作は突然数秒間意識がなくなり、ボーっとしてるように見えてしまうてんかんの一種で、特に子どもに多く見られる症状です。 しかしながら、欠神発作は大人も発症することがあり、本人や家族が異変に気づかずに見過ごされたり、反対に日常生活に支障をきたしたりすることもあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。
エトスクシミドは、欠神発作に対して高い有効性を示す抗てんかん薬であり、第一選択薬として医療現場でも広く使われています。 今回は、このエトスクシミドの作用機序、適応、副作用などの解説に加え、欠神発作についての理解を深めていきます。
欠神発作とは
欠神発作はてんかんの一種ですが、一時的な意識消失が突然起こる日常生活の中でも気づかれにくい発作が起きるのが特徴です。 子どもに多く見られるタイプのてんかんですが、稀に大人でも発症することがあります。
てんかんの治療はてんかんの種類ごとに適した薬剤が異なるため、まずは欠神発作の特徴と症状を確認していきましょう。
欠神発作の特徴と症状
欠神発作は突然数秒間、意識が一時的に消失するてんかんです。 ぼんやりした表情で一点を見つめて反応が止まることが多く、周囲からは考え事をしたり、ボーっとしたりしているように見え、病気を見過ごしてしまうこともあります。
通常、発作は数秒から十数秒で自然におさまり、発作の前後に混乱やけいれんなどが見られないため、本人は発作があったことすら気づかない場合もあります。 学童期の子どもに多い病気で、授業中の集中力の欠如や注意散漫と誤解されることがあるため、行動の異変に気づいた時には医療機関を受診して適切な治療を受けることが重要です。
欠神発作の原因と脳の働き
欠神発作の発症には大脳皮質と視床をつなぐ神経回路の異常な電気的活動が関係しており、棘徐波複合と呼ばれる特徴的な脳波が見られるのが特徴です。
欠神発作の直接的な原因はすべて明らかになっているわけではありませんが、遺伝的要素に加えて、恐怖や驚きなどの感情の変化、集中力の低下、眠い時などに発作が起きやすいとも言われています。 そのため、ストレスをできるだけ避け、睡眠不足にならないように規則正しい生活を心掛けることも大切とされています。
大人にも起こる欠神発作
欠神発作は子どもに多い疾患ですが、稀に成人でも発症することがあります。 特に子どもの時に欠神発作があった人の中には、思春期以降も発作が持続するケースや、成長とともに別のタイプのてんかんへ移行する可能性も示唆されています。
欠神発作は一見すると精神的な不調や注意力の問題のように見えるため、仕事をするうえでマイナスのイメージを持たれてしまう恐れがあります。 そのため、欠神発作が疑われる場合には、脳波検査などを受けて適切な治療をして発作を予防することが大切です。
欠神発作の第一選択薬エトスクシミドの適応と商品名
- 参考サイト
- てんかん|どい脳神経外科
ここまで欠神発作について理解を深めてきましたが、てんかんの治療には適切な薬剤を使用することが欠かせません。 ここでは欠神発作の第一選択薬として使用されているエトスクシミドについて解説していきます。
エトスクシミドの作用機序と適応
エトスクシミドは欠神発作を主な適応としている薬剤で、棘徐波複合という脳波の発信源である視床の神経活動を抑制することで発作を予防します。
エトスクシミドには欠神発作の時に視床と大脳皮質をつなぐ神経回路に異常な興奮が起きてしまう過剰な電気信号の発生を防ぐために、カルシウムチャネルの働きを遮断する作用があります。 これによって、過剰な電気信号を抑えて発作を防ぎます。
このような作用があるエトスクシミドは定型欠神発作やミオクロニー発作に高い効果が期待できるとされ、ほかにも小型運動発作や矢立無道発作、小発作、点頭てんかん、BNSけいれん、幼児けい縮発作が適応です。
エトスクシミドの商品と剤型
エトスクシミドを主成分とする商品には、エピレオプチマル散50%という散剤と、ザロンチンシロップ5%というシロップ剤の2種類があります。 子どもに多く見られる欠神発作の治療薬ということで、乳児や幼児でも飲みやすいシロップ剤が用意されています。
また、同じスクシミド系抗てんかん薬に分類される薬剤にトリメタジオンを主成分とするミノアレ散66.7%があります。
エトスクシミドの副作用と注意点
エトスクシミドは欠神発作に対して効果が高い薬剤ですが、ほかの薬剤と同様に副作用が起こる可能性があるため、副作用の症状や注意点を理解してから使用することが大切です。
エトスクシミドの副作用
エトスクシミドの主な副作用は、吐き気や腹痛、食欲不振といった消化器症状や、眠気、めまい、集中力の低下といった中枢神経系症状です。
また、ごく稀に重い副作用が起きる可能性もあります。 発疹や水ぶくれ、皮膚の痛み、喉の痛みなどはスティーヴンス・ジョンソン症候群の初期症状、発熱や口内炎、だるさ、鼻血、歯肉出血は血液成分の異常の初期症状、筋肉や関節の痛み、赤い斑点はSLE様症状の初期症状です。 これらの症状が見られた場合は、自己判断で服用を中止せず、すぐに医師に相談する必要があります。
また、副作用を早期に発見するためには、定期的な検査が欠かせません。 症状がある時には月に1回、症状が安定していても半年~1年に1回通院することが望ましいとされています。
エトスクシミド服用の注意点
エトスクシミドをはじめとするてんかんの薬全般に言えることですが、薬を少量から飲み始めて徐々に増量しながら適量を決め、その後は血中濃度を一定に保つためにも、医師から指示された用法用量を守る必要があります。
もし、エトスクシミドを自己判断で量を増減したり、突然中止したりすると、発作が再発するだけでなく、反動で重い発作を起こしてしまう恐れもあります。 特に長期間服用している場合は、医師の指示に従って徐々に減量する必要があるので注意してください。
また、ほかのてんかん治療薬であるバルプロ酸と併用するとエトスクシミドの代謝が阻害されて血中濃度が高まり、作用が強くなってしまう恐れがあります。 反対にカルバマゼピンとの併用では、エトスクシミドの血中濃度が低下して効果が弱まってしまう恐れがあります。 このような悪影響を防ぐためにも、医療機関を受診する時は必ず飲んでいる薬を医師に伝えるようにしましょう。
欠神発作の対処法と生活上の工夫
欠神発作は突然数秒から十数秒ほど意識が途切れる発作ですが、倒れたり、身体が突っ張ったりはしないので、周囲からは「ぼんやりしている」「話を聞いていない」と誤解されることもあります。 そのため、このような特徴がある欠神発作ではエトスクシミドなどによる薬物療法に加えて、生活環境の整備や周囲の理解が大切です。
ここでは欠神発作を抱えている方が取り入れたい対処法と生活上の工夫を紹介します。
適切な薬物治療の継続
まず最も重要なのが、欠神発作の基本的な治療法である抗てんかん薬による発作の予防です。 エトスクシミドは欠神発作に対して高い有効性を持つ薬剤であり、多くの患者さんで第一選択薬とされています。
薬は決められた時間に正しい量を服用し続けることが重要で、自己判断で中断したり減量したりすると、発作が再発・悪化するおそれがあります。 もし、服薬中に異変があった場合は速やかに医師へ相談し、決して独断で薬を中断することのないようにしましょう。
発作を防ぐ生活習慣の工夫
欠神発作には、発作を誘発しやすいきっかけがあると言われています。 睡眠不足、過度の疲労、ストレスなどが代表的な要因であり、発作を予防するためには、規則正しい生活リズムを保ち、十分な睡眠を取ることが大切です。
睡眠については子どもでは8~10時間、大人では6~8時間を目安にし、もし十分な睡眠が取れないような日には翌日にしっかり眠るようにしてください。 また、食事については常識の範囲内であれば制限はありませんが、アルコールは発作を誘発しやすいので控えた方がよいとされています。
学校や職場での配慮
欠神発作は短時間で回復するとはいえ、学校や職場での集中力や学習、作業のパフォーマンスに影響することがあります。 例えば、授業中や会議中に反応が遅れたり、話の内容を把握しきれなかったりする場合、それが発作によるものであると理解されていないと、誤解や不利益に繋がることもあります。
このような事態を避けるためにも、あらかじめ教師や上司に病気のことを説明し、必要に応じて医師の診断書を提出することが大切です。 安心して学習・勤務できる環境を整えるためにも、うまく手配しておくとよいでしょう。
日常生活における安全対策
欠神発作は突発的に起こるため、行動によっては思わぬ事故に繋がる可能性があります。
例えば、車の運転においては2年以上てんかん発作がなく、その後も発作を起こす可能性が低い時に運転が認められると改正道路交通法で定められています。
免許が認められたあとも、薬を飲み忘れないことや発作が起きにくいような規則正しい生活を心掛けることが大切です。 そして、てんかん発作が起きた時には、発作の繰り返しによる危険を防ぐためにも、一定の期間は運転を控えるなどの対処をする必要があります。
また、高所作業や危険を伴う機械操作も避けるようにしてください。 発作が起きた時のことを考えて、危険性のない職業を選ぶとよいでしょう。
エトスクシミドは用法用量を守って欠神発作を予防しよう
欠神発作は一見気づかれにくい発作ですが、放置すると日常生活や学習・仕事に大きな影響を及ぼすことがあります。 エトスクシミドは欠神発作の第一選択薬として高い効果を持ち、適切な服薬と生活習慣の見直しにより、発作のコントロールが可能です。
症状や薬の作用を正しく理解し、用法用量を守って正しく使用していきましょう。
