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第一世代の三環系抗うつ薬とは?代表的な薬剤一覧と作用機序・副作用・禁忌を解説

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第一世代の三環系抗うつ薬とは?代表的な薬剤一覧と作用機序・副作用・禁忌を解説

うつ病は気分が強く落ち込む、やる気が出ないなどの精神症状や身体がだるい、眠れないといった身体症状が現れる病気です。
このような感情の波は誰でも経験があるかもしれませんが、うつ病の場合は長期間症状が続いたり、日常生活に支障をきたしたりするため、薬剤を用いるなどの治療を受ける必要があります。

うつ病の症状を改善する抗うつ薬には様々な種類がありますが、今回は第一世代の三環系抗うつ薬を中心に解説していきます。
第一世代の三環系抗うつ薬の特徴や代表的な薬剤一覧、作用機序、副作用、禁忌に加えて、SSRIなどの新しい抗うつ薬との違いも取り上げていきます。

第一世代の三環系抗うつ薬とは

alt 第一世代の三環系抗うつ薬は1950?60年代頃に開発された最も古いタイプの抗うつ薬の1つです。
「三環系」という名称は分子構造に3つの環を有していることに由来し、神経伝達物質のバランスを整えることで、気分の落ち込みや意欲の低下といった症状を改善する働きがあります。

第一世代の三環系抗うつ薬は効果が高い薬剤ですが副作用も強いことから、その後、第二世代の三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬などが開発されました。
しかしながら、新しい薬剤は副作用は少なくなったものの効果も弱いという問題点があったため、その後も様々な抗うつ薬が開発されていきました。

現在では、三環系抗うつ薬は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)などの新しい薬剤に置き換えられることも多くなりました。
その一方で、三環系抗うつ薬は効果が高く、症状の重い特定の患者さんに対して有効とされることから、今でも選択的に使用されます。

第一世代の三環系抗うつ薬の薬剤一覧

第一世代の三環系抗うつ薬は、三環系と呼ばれる3つの環状構造を持つタイプの薬剤で、主にセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の再取り込みを阻害する作用があります。
第一世代の三環系抗うつ薬には、イミプラミン、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、クロミプラミンを主成分とした薬剤があります。

主成分 商品名
イミプラミン イミドール糖衣錠、トフラニール錠
アミトリプチリン アミトリプチリン塩酸塩錠、トリプタノール錠
ノルトリプチリン ノリトレン錠
クロミプラミン アナフラニール点滴静注液、アナフラニール錠

これらの薬剤は、日本でのうつ病治療における初期の薬物療法として広く使われてきましたが、副作用が強く心毒性のリスクもあるため、現在では使用が限定されつつあります。
しかしながら、他の抗うつ薬が効きにくい場合などにおいて、今でも処方される薬剤です。

第一世代の三環系抗うつ薬の作用機序・効果

alt 第一世代の三環系抗うつ薬は、脳内の神経伝達物質であるセロトニンおよびノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで効果を発揮する薬剤です。
神経細胞から放出されたこれらの物質は本来であればシナプスで作用した後、再び神経末端に取り込まれますが、この再取り込みを防ぐことで神経間のセロトニンやノルアドレナリンの濃度を高めて抑うつ状態を改善します。

三環系抗うつ薬の抗うつ効果は非常に高いため、特に難治性や重症のうつ病の方に使用を検討されることがあります。
しかしながら、効果が現れるまでには約2?4週間かかり、抗ヒスタミン作用や抗コリン作用などの様々な受容体への影響がある点には注意しなければなりません。

第一世代の三環系抗うつ薬の用法用量

第一世代の三環系抗うつ薬は少量から服用を開始し、効果や副作用の出方を見ながら、段階的に増量する「漸増法」がとられることが多いです。 例えばアミトリプチリンは、うつ病の治療の場合、成人に対して通常1日30?75mgから開始し、必要に応じて最大150mgまで増量していきますが、薬剤の効果が足りない時には稀に300mgまで使用するケースもあります。

イミプラミンもイミプラミン塩酸塩に換算して成人の場合は30?70mgから開始し、必要に応じて最大200mgまで増量していきます。
イミプラミンも症状の重さによって、稀に300mgまで増量することがあります。

第一世代の三環系抗うつ薬の副作用

第一世代の三環系抗うつ薬は強力な効果を持つ一方で、副作用のリスクも高い薬剤です。
これは脳内のノルアドレナリンやセロトニンの再取り込みを阻害することで抗うつ効果を発揮するのと同時に、アセチルコリンやヒスタミンなどにも作用するためです。

第一世代の三環系抗うつ薬の主な副作用には、眠気、めまい、せん妄、口渇、便秘、排尿困難、眼圧上昇などがあることから、特に症状が重くなりやすい高齢者は転倒リスクや排尿トラブルに注意しましょう。

加えて、重篤な副作用として悪性症候群の報告もあります。
原因がないのに高熱が出たり、手足が震えたりするような時は初期症状の可能性があるため、速やかに医療機関を受診してください。
また、三環系抗うつ薬には心毒性があることも知られており、特に過量服薬時には致死的な心室性不整脈や心停止が起こる可能性があるため注意が必要です。

第一世代の三環系抗うつ薬の禁忌・飲み合わせ

第一世代の三環系抗うつ薬アナフラニール錠を例に禁忌や飲み合わせの注意点を解説していきます。
まず、禁忌とされているのは閉塞隅角緑内障や前立腺疾患、尿閉、心筋梗塞の回復初期、過敏症、QT延長症候群、MAO阻害剤投与中あるいは投与中止後2週間以内の方です。

それに加えて、注意が必要とされているのが、副腎髄質腫瘍や開放隅角緑内障、褐色細胞腫、狭心症、自殺企図、重篤な肝障害・腎障害、てんかんなどの様々な病気や症状が該当するので、必ず医師や説明書の指示を確認して正しく使用してください。

飲み合わせで影響が出る恐れがある薬剤には、アドレナリン製剤、中枢抑制剤、抗コリン作用を有する薬剤をはじめとする様々なものがあり、併用注意となっています。
相互作用の可能性がある薬剤と併用すると、全身痙攣や昏睡、高熱、視力障害、高血圧などを引き起こしたり、薬剤の作用を減弱化させたりするので注意しましょう。
もし、三環系抗うつ薬と他の薬剤を併用したい時には、自己判断で使用するのはやめ、医師や薬剤師に相談してください。

第一世代の三環系抗うつ薬と他の抗うつ薬との違い

ここまでお話してきた第一世代の三環系抗うつ薬の他に、第二世代の三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬、SSRIといった薬剤がうつ病の治療に使用されています。
ここでは第一世代の三環系抗うつ薬とそれ以外の抗うつ薬の特徴をそれぞれ解説していきます。

第一世代の三環系抗うつ薬

第一世代の三環系抗うつ薬は、1950~1960年代に発売された抗うつ薬の中で最も古い歴史を持つ薬剤です。
セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを同時に強力に阻害することで、脳内の神経伝達物質のバランスを整えて抑うつ状態を改善する働きがある一方で、アセチルコリンやヒスタミンなどにも作用して強い副作用を引き起こすという問題もありました。

第二世代の三環系抗うつ薬

第二世代の三環系抗うつ薬は、第一世代の三環系抗うつ薬よりも副作用を抑える目的で改良されたうつ病治療薬です。
代表的な成分として、アモキサンやロフェプラミンなどがあります。

構造や作用が第一世代の三環系抗うつ薬と少し異なることで効果が弱くなりましたが、副作用が減ったことにより、高齢者にも比較的使いやすくなったと言われています。

四環系抗うつ薬

1970~1980年代に開発されたのが化学構造に4つの環状構造を持った四環系抗うつ薬で、代表的な薬剤としてテトラミドやルジオミールなどがあります。
三環系抗うつ薬の副作用軽減を目的に開発された四環系抗うつ薬は、ノルアドレナリンだけに作用するため気力や意欲低下には効果を示しますが、セロトニンへの作用がないことから落ち込みや不安を改善する効果は弱いのが特徴です。
また、副作用の強い眠気を逆手にとって、睡眠改善薬として使用することもあります。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

1990年代にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が販売され、抗うつ薬の新たな選択肢として注目を集めました。
SSRIはセロトニンの再取り込みを選択的に阻害し、神経伝達を活性化させることで抑うつ症状を緩和する作用がある抗うつ薬です。
三環系や四環系に比べて他の神経受容体への影響が少ないことから、現在の第一選択薬となっています。

しかしながら、吐き気や性機能障害、不安などの副作用がみられることもあるので、他の抗うつ薬と同様に慎重に使用する必要があります。

SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)

2000年代以降に登場したのがSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)で、脳内でセロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害することによって、これら神経伝達物質の働きを強める作用があります。
SNRIは近年のうつ病治療の第一選択薬の1つとされています。

NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)

SNRIと同じころに発売したNaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)は脳内のノルアドレナリンの遊離を促進させ、セロトニンの働きを強める抗うつ薬です。
副作用が少ないように工夫された新しいタイプの抗うつ薬です。

第一世代の三環系抗うつ薬は効果も副作用も強い

第一世代三環系抗うつ薬は、ノルアドレナリンやセロトニンの再取り込みを阻害することで、うつ症状を改善する作用があります。
イミプラミンやアミトリプチリンなどの商品があり、高い効果を持つ一方で抗コリン作用や心毒性といった副作用のリスクも持ち合わせます。
SSRIなどの新しい抗うつ薬と比較すると、副作用などの面で注意が必要ですが、他の抗うつ薬で効果が得られないような時には、第一世代の三環系抗うつ薬も有効な選択肢の1つとされています。

このように抗うつ薬は種類によって効果や副作用のあらわれ方が異なるのが特徴です。
薬剤を正しく理解して、安全に治療していきましょう。

このコラムの執筆者

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岩島 梨絵子
薬剤師
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2005年より精神科・神経内科領域を中心に薬剤師として臨床に従事。

2018年からはWebメディアで実践的かつ生活に役立つ情報を発信。

依存症やメンタルヘルスといった社会的課題にも取り組み、幅広い視点で啓発活動を展開。

専門的知見をわかりやすく伝えることで、読者の理解と安心に貢献することを目指している。

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