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止血機構について徹底解説|アスピリンの作用機序も紹介

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止血機構について徹底解説|アスピリンの作用機序も紹介

「止血機構ってどんなシステム?」 「アスピリンが作用するメカニズムは?」 このような疑問を持っている人は少なくないのではないでしょうか。

本記事では、出血を止めるための止血機構について徹底解説します。 また、抗血小板薬のアスピリンについて、作用機序や副作用、適応となる疾患も詳しく紹介します。

本記事を読めば、止血機構やアスピリンについて理解を深められます。 興味がある人はぜひ最後までご覧ください。

止血機構

ヒトの体内を循環し、様々な臓器・組織に酸素などを供給している血液は、通常血管から漏れ出ることはありません。 しかし、何らかの原因により血管が損傷を受けると、血液が漏れ出る出血が発生します。

ここで、出血を止めるために備えられているシステムが止血機構です。 止血機構は以下の3段階から成り立っています

  1. 一次止血
  2. 二次止血
  3. 線溶

それぞれについて見ていきましょう。

一次止血

一次止血は止血機構の第一段階であり、血小板が主役となるシステムです。 以下の流れで止血作用を発揮しています。

①粘着 VWFという物質を介して、血小板が血管内壁のコラーゲンに結合する
②放出 血管内壁に粘着することで血小板が活性化し、「ADP」や「TXA?」といった物質を放出する
→ ADPは血小板をさらに活性化し、TXA?は血小板凝集作用を血管収縮作用を有する
③凝集 血小板が「フィブリノゲン」という物質と結合し、フィブリノゲンを介して血小板同士が凝集する

血小板が凝集してできたものを、「一次血栓」と呼びます。

一方、一次止血を阻害する物質もいくつか存在します。 主な物質は以下の通りです。

PGI? TXA?を阻害して血小板凝集と血管収縮を妨げる
NO ・PGI?の産生を増加させる
・血小板の活性化を阻害する
SDPase ADPの分解により血小板の活性化を阻害する

二次止血

血小板による一次止血のみでは、止血機構としては不十分です。 そこで、凝固因子を中心とする二次止血が行われます。

凝固因子には以下の14種類が存在します。

  • フィブリノゲン
  • プロトロンビン
  • 組織因子(TF)
  • カルシウム
  • 不安定因子(ACグロブリン)
  • 安定因子(プロコンバーチン)
  • 抗血友病因子(AHF)
  • Christmas因子
  • Stuart-Prower因子
  • PTA
  • Hageman因子
  • フィブリン安定因子
  • プレカリクレイン
  • 高分子キニノゲン

これらの凝固因子が連鎖的に反応して二次止血が進行します。 最終的にフィブリノゲンから「フィブリン」という物質が合成され、二次血栓の完成です。

一方、二次止血を阻害する物質もいくつか存在します。 主な物質は以下の通りです。

・ヘパリン様物質
・AT(アンチトロンビン)
AT(アンチトロンビン)がヘパリン様物質に結合することで活性化し、複数の凝固因子を阻害する
・トロンボモジュリン
・プロテインC
・プロテインS
トロンボモジュリンが、プロトロンビンから産生される物質「トロンビン」と結合して阻害する
→ トロンボモジュリンとトロンビンの複合体がプロテインCを活性化する
→ プロテインSも関与して複数の凝固因子を阻害する

線溶

止血機構の最終段階である線溶とは、不要になった血栓を溶かすシステムのことです。 以下の流れで進行していきます。

  1. 「PA」という物質の作用により、「プラスミノゲン」という物質が活性化される
  2. 活性化されたプラスミノゲンが「プラスミン」という物質に変化する
  3. プラスミンがフィブリノゲンやフィブリンを分解する

以上の流れで不要な血栓が溶解されていきます。

しかし、必要な血栓まで溶解されてしまっては出血を止められません。 そこで、以下の物質により過剰な線溶が抑制されています。

α?-PI 血中のプラスミンに結合して阻害する
PAI PAの作用を阻害してプラスミノゲンを活性化させない

抗血小板薬の種類

抗血小板薬とは、その名の通り血小板の作用に拮抗して、一次止血を阻害する薬物です。 主に以下のような種類が存在します。

作用機序による分類 COX阻害薬 ADP受容体遮断薬 PDE阻害薬
薬剤名 ・アスピリン ・チクロピジン
・クロピドグレル
・プラスグレル
・シロスタゾール
投与方法 経口剤(腸溶剤) 経口 経口
作用が現れるまでの時間 約4時間 1~2時間 約3時間
作用の持続時間 約1週間(血小板の寿命) 約1週間(血小板の寿命) 約2日
手術前の休薬期間(目安) 7~10日 10~14日 約2日
主に用いられる疾患 ・虚血性心疾患
・脳梗塞(心原性を除く)
・川崎病
・脳梗塞(心原性を除く)
・虚血性心疾患
・末梢動脈疾患
・脳梗塞(心原性を除く)
・末梢動脈疾患
主な副作用 ・出血傾向
・アスピリン喘息
・腎障害
・消化性潰瘍(消化管出血)
・血栓性血小板減少性紫斑病
・無顆粒球症
・肝機能障害
・頭痛、ほてり
・うっ血性心不全、動悸、頻脈
その他の特徴 ・代表的な抗血小板薬であり安価
・血栓症の再発リスクは低いが脳出血は生じやすい
・チクロピジンは副作用が生じやすい
・クロピドグレルには抵抗性があるケースが多い
・出血リスクは比較的低め
・グレープフルーツジュースを飲むと薬剤の作用が強くなり、副作用が生じやすくなる

ここからは、代表的な抗血小板薬であるアスピリンについて詳しく見ていきましょう。

アスピリンの作用機序

!

一次止血では、TXA?が重要な役割を果たしています。 TXA?は「COX」という物質により、血小板内で産生されています。

ここで、アスピリンの作用はCOXの阻害です。 その結果、TXA?の産生が抑制され血小板凝集作用と血管収縮作用が阻害されます。 このようなメカニズムにより、アスピリンは抗血小板作用を発揮しているのです。

アスピリンの主な副作用

アスピリンの主な副作用として以下4つを紹介します。

  • 出血傾向
  • アスピリン喘息
  • 腎障害
  • 消化性潰瘍

それぞれについて見ていきましょう。

①出血傾向

アスピリンをはじめとする全ての抗血小板薬の副作用として、出血傾向が挙げられます。 特に、高血圧を抱えている人では脳出血が起こりやすいです。 そのため、抗血小板薬の投与時には慎重な血圧コントロールが必要となります。

②アスピリン喘息

アスピリンの作用によりCOXが阻害されると、TXA?だけでなく、「プロスタグランジン」という物質の産生も抑制されます。 そして、プロスタグランジンの産生が減った分、「ロイコトリエン」という物質の産生が増加します。 このロイコトリエンの作用により、咳や呼吸困難などの喘息発作が生じるのです。

③腎障害

先ほどの説明の通り、アスピリンを投与するとプロスタグランジンの産生が低下します。 プロスタグランジンの作用には腎臓に流れ込む血管の拡張があり、これが抑制されるために腎機能障害が引き起こされるのです。 また、腎機能が低下している人の場合、アスピリンの使用は慎重投与 or 禁止となります。

④消化性潰瘍

アスピリンにより産生が低下するプロスタグランジンには、胃粘膜を保護する作用もあります。 この作用が抑制されるため、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍が発生するのです。

主な症状として、心窩部痛や悪心・嘔吐、胸やけや食欲不振などが挙げられます。 重症例では消化管出血を伴い、突然の吐血や下血が生じる場合もあります。

アスピリンの適応疾患

アスピリンの主な適応疾患は以下の3つです。

  • 虚血性心疾患
  • 脳梗塞(心原性を除く)
  • 川崎病

それぞれについて見ていきましょう。

①虚血性心疾患

心臓には「冠動脈」という血管が流れており、酸素や栄養などを供給しています。 虚血性心疾患とは、冠動脈が狭窄・閉塞する疾患です。 動脈硬化がベースとなっているケースが多く、血栓も病態に関与しています。

虚血性心疾患は冠動脈が狭窄する狭心症と、完全に閉塞する心筋梗塞に分類されます。 それぞれの症状は以下の通りです。

狭心症 主に運動時の息苦しさや胸の痛み
心筋梗塞 前胸部を締め付けるような強い痛み、呼吸困難、吐き気、めまい

②脳梗塞(心原性を除く)

脳梗塞とは、脳に酸素や栄養を供給している血管が閉塞し、その先の脳細胞が壊死してしまう疾患です。 以下の3つのタイプに分類されます。

タイプ アテローム血栓性脳梗塞 心原性脳塞栓症 ラクナ梗塞
概要 動脈硬化により発生する脳梗塞 心臓から血栓が流れてきて発生する脳梗塞 脳深部に発生する小さな脳梗塞
リスク因子 ・高血圧
・糖尿病
・脂質異常症
・喫煙
・大量飲酒
・心房細動
・洞不全症候群
・心筋梗塞
・高血圧
発生するメカニズム 動脈硬化で狭窄した血管に血栓が形成されて閉塞する 心臓内で形成された血栓が脳に到達して閉塞する 小血管が高血圧により障害されて閉塞する
主な症状 ・構音障害(呂律が回らない)
・片側の運動障害や感覚障害
・意識障害
・片側の運動障害や感覚障害
・失禁
・軽度の運動障害や感覚障害
・無症状のケースもあり
典型的な経過 ・安静時や睡眠時の発症が多い
・比較的緩やかに発症するケースが多い
・活動時の発症が多い
・急速に症状が出現するケースが多い
・軽い症状のまま繰り返すことで、血管性認知症やパーキンソン症候群の原因になり得る

このうち、アスピリンはアテローム血栓性脳梗塞とラクナ梗塞に対して用いられています。

③川崎病

川崎病とは、主に4歳以下の小児に好発する原因不明の血管炎です。 以下のような症状がみられます。

  • 5日以上続く発熱
  • 全身の不定形発疹
  • 両側の眼球結膜充血
  • イチゴ舌
  • 頸部リンパ節の腫れ
  • 四肢末端の変化(紅斑など)

治療が遅れると冠動脈瘤(冠動脈に生じるこぶ)が形成され、心筋梗塞などを引き起こす恐れがあります。

まとめ:アスピリンで血栓による疾患を治療しよう

私たちの身体には、出血を止めるための止血機構が備わっています。 一次止血の主役となるのが血小板であり、アスピリンは血小板の作用を阻害する薬剤です。

アスピリンが用いられる主な疾患は、虚血性心疾患や心原性を除く脳梗塞、川崎病です。 出血傾向やアスピリン喘息をはじめとする副作用に十分注意しつつ、アスピリンで血栓による疾患を治療しましょう。

このコラムの執筆者

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笹島 遼介
薬剤師
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2016年より調剤薬局を中心に地域医療に携わり、患者の日常に寄り添った服薬支援を実践。

花粉症や糖尿病など、長期治療が必要な慢性疾患に幅広く対応している。

現在は慢性疾患や生活習慣病に関する正確で実用的な知識をWebメディアで発信中。

些細な不安や疑問にも耳を傾け、共に解決策を見出す姿勢を大切にしている。

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