「ワクチンにはどんな歴史があるの?」 「インフルエンザワクチンの効果は?」 このような疑問を持っている人は少なくないのではないでしょうか。
本記事では、ワクチンの歴史や接種する目的、種類について詳しく紹介します。 インフルエンザワクチンの効果や接種回数、インフルエンザそのものについても徹底解説。
本記事を読めば、ワクチンやインフルエンザについて理解を深められます。 興味がある人はぜひ最後までご覧ください。
ワクチンの歴史
ワクチンの歴史はとても古く、11世紀の中国が起源とされます。 当時は、天然痘のかさぶたを鼻から吸わせる方法が試されていました。 これは「種痘(そしゅ)」と呼ばれ、予防の知恵として受け継がれます。
1796年、イギリスのジェンナー医師が牛痘を使った接種法を発見しました。 この方法により、天然痘を安全に防げることが確認され、ここから「ワクチン」という概念が始まったのです。
19世紀には、フランスの生化学者・細菌学者であるパスツールが弱毒化した病原体を使ったワクチンを開発し、狂犬病や炭疽など複数の感染症に応用しました。 20世紀に入ると、ポリオ・結核・インフルエンザなどのワクチンも誕生し、接種の普及によって重篤な感染症が次第に減っていきます。
日本国内では1849年に種痘が導入され、1909年には種痘法が制定されます。 さらに1948年に予防接種法が施行され、1976年に副反応への救済制度が開始されるなど、本格的な制度となりました。
近年では、新型コロナをきっかけにmRNAワクチンが実用化されました。 従来と比べて短期間で開発できることが大きな特長です。 このように、ワクチンは今も進化を続けており、未来の医療を支える存在なのです。
ワクチンを接種する目的
ワクチンを接種する最大の目的は、自分自身を感染症から守ることです。 体内に免疫をつくることで、発症や重症化を防ぐことが期待されます。
ただし、ワクチンの役割はそれだけにとどまりません。 多くの人が接種することで、感染の広がり自体を抑える効果も生まれます。 この仕組みは「集団免疫」と呼ばれ、社会全体に免疫が広がるとワクチンを打てない人も守られます。 たとえば、乳児や持病のある方、免疫力の低い人などです。
自分のためであり、同時に他者を守る行動でもある。 それが、ワクチン接種の大きな意義と言えるでしょう。
ワクチンで得られる獲得免疫
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ワクチンで得られる獲得免疫は、液性免疫と細胞性免疫に分類されます。 それぞれについて見ていきましょう。
液性免疫
液性免疫は、主に「B細胞」「食細胞」が関与する免疫です。
- 病原体が身体に侵入する
- 病原体に特異的なB細胞が増殖する
- 増殖したB細胞が抗体を産生する
- 抗体が病原体に結合し食細胞の働きを促進する
- 食細胞が病原体を取り込んで排除する
以上の流れで、身体に侵入した病原体に対処します。
細胞性免疫
細胞性免疫は、主に「CD4陽性T細胞」「CD8陽性T細胞」「Th1細胞」「細胞障害性T細胞」が関与する免疫です。
- 病原体が身体に侵入する
- 病原体に特異的なCD4陽性T細胞が反応しTh1細胞へと変化する
- Th1細胞が「サイトカイン」を放出する
- サイトカインの作用により「CD8陽性T細胞→細胞障害性T細胞」の変化が進む
- 細胞障害性T細胞が病原体に感染した細胞を破壊する
以上の流れで、身体に侵入した病原体に対処します。
ワクチンの種類は4種類
ワクチンは、接種する病原体の違いから4つに分類されます。
| 種類 | 生ワクチン | 不活化ワクチン | トキソイド | mRNAワクチン |
|---|---|---|---|---|
| 概要 | 病原体の病原性を弱めたもの | 病原体を殺菌・不活化したもの | 最近の外毒祖を無毒化したもの | 病原体の遺伝情報の一部 |
| 感染性 | あり | なし | ||
| 獲得する免疫 | 液性免疫+細胞性免疫 | 液性免疫 | 液性免疫+細胞性免疫 | |
| 対象となる疾患・病原体 | ・麻疹 ・風疹 ・結核 ・水痘 ・黄熱 ・流行性耳下腺炎 ・ロタウイルス感染症 | ・百日咳 ・肺炎球菌 ・日本脳炎 ・ポリオ ・インフルエンザ菌血清型b(Hib) ・ヒトパピローマウイルス(HPV) ・インフルエンザウイルス ・A型肝炎 ・B型肝炎 ・狂犬病 ・髄膜炎菌 ・RSウイルス | ・ジフテリア ・破傷風 | ・SARS-CoV-2 |
| 利点 | 獲得免疫が長期間続く | 安全性が高い | (理論上は)安全性が高い | |
| 欠点 | 感染症発症のリスクがあり免疫不全患者や妊婦は接種不可 | 獲得免疫の持続期間が短いため追加接種が必要 | 長期的な安全性が不明確 | |
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンに該当します。
インフルエンザワクチンの効果と接種回数
インフルエンザワクチンの効果は以下の2つです。
- インフルエンザへの罹患率を下げる
- インフルエンザに罹患した場合も軽症になる
これらの効果は、接種後約5ヵ月間持続します。 また、インフルエンザワクチンの接種回数は、年齢ごとに異なります。
| 年齢 | 接種回数 | 1回ごとの接種量 |
|---|---|---|
| 生後6ヵ月以上3歳未満 | 2回 | 0.25mL |
| 3歳以上13歳未満 | 2回 | 0.5mL |
| 13歳以上 | 1回 | 0.5mL |
インフルエンザとは?
インフルエンザについて以下の観点から解説していきます。
- 世界的大流行(パンデミック)の歴史
- 症状
- 合併症
- ハイリスク群
- 抗インフルエンザ薬
それぞれについて見ていきましょう。
世界的大流行(パンデミック)の歴史
インフルエンザの世界的大流行はこれまでに何度か起こり、そのたびに多くの死者を出してきました。 20世紀に発生した主なパンデミックは以下の通りです。
| 年 | 名称 | インフルエンザウイルスの型 |
|---|---|---|
| 1918 | スペインかぜ | H1N1 |
| 1957 | アジアかぜ | H2N2 |
| 1968 | 香港かぜ | H3N2 |
| 1977 | ソ連かぜ | H1N1 |
このようなパンデミックを起こさないためにも、インフルエンザワクチンの接種が重要であるのです。
症状
インフルエンザは1?3月に流行することが多い感染症であり、ウイルスに感染してから発症するまでの潜伏期間は約1?2日間です。 一般的なかぜと比べて進行は急速であり、主に以下のような症状がみられます。
- 38℃以上の発熱
- 頭痛
- 悪寒
- 関節痛・筋肉痛
- 強い全身倦怠感
- 咳嗽
- 息苦しさ
これらの症状のうち、咳嗽や息苦しさといった呼吸器症状は、全身症状にやや遅れて出現します。
合併症
インフルエンザの代表的な合併症として、重要であるのがインフルエンザ脳症とインフルエンザ肺炎です。 これらの合併症はいずれも予後不良であり、十分に注意しなければなりません。
| 合併症 | インフルエンザ脳症 | インフルエンザ肺炎 |
|---|---|---|
| 発症しやすい人 | 主に小児(5歳以下) | 主に高齢者(65歳以上) |
| 発症する時期 | インフルエンザ発症初期 | インフルエンザ発症後期または回復期 |
| 主な症状・経過 | 発熱時の意識障害やけいれん | 咳嗽や膿性痰 |
その他に起こり得る合併症としては以下が挙げられます。
- 筋炎
- 横紋筋融解症
- 中耳炎
- クループ症候群
このうち、中耳炎とクループ症候群は小児で合併しやすいです。
ハイリスク群
インフルエンザに感染すると重症化をきたす恐れがあるため、ワクチン接種が推奨されるハイリスク群は以下の通りです。
- 65歳以上の高齢者
- 老人ホームなどの居住者
- 乳幼児
- 妊婦
- 著しい肥満
- 慢性呼吸器疾患(COPDや気管支喘息など)
- 慢性心疾患(僧帽弁膜症など)
- 慢性腎疾患(CKDなど)
- 代謝性疾患(糖尿病など)
- 神経筋疾患(嚥下障害など)
- 免疫不全(ステロイド療法中など)
インフルエンザ患者にハイリスク群の人が濃厚接触した場合、抗インフルエンザ薬の投与が検討されます。 また、医療従事者やハイリスク群の濃厚接触群(家族など)も、インフルエンザワクチンの接種が推奨されています。
抗インフルエンザ薬
抗インフルエンザ薬として用いられている薬剤は以下の通りです。
| 分類 | 名称 | 投与経路 | 作用機序 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ノイラミニダーゼ阻害薬 | オセルタミビル | 内服 | ウイルスの放出に必要な部位であるノイラミニダーゼを阻害 | インフルエンザに対する第一選択薬 |
| ザナミビル | 吸入 | |||
| ペラミビル | 静注 | |||
| ラニナミビル | 吸入 | |||
| RNAポリメラーゼ阻害薬 | ファビピラビル | 内服 | ウイルスの増殖に関わるRNAポリメラーゼを阻害 | 新型インフルエンザや再興型インフルエンザに用いる |
| キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬 | バロキサビル | 内服 | ウイルスの増殖に関わるキャップ依存性エンドヌクレアーゼを阻害 | 1回の服用で治療が完結し、副作用も少ない |
| M2蛋白阻害薬 | アマンタジン | 内服 | ウイルスの侵入に必要な部位であるM2蛋白を阻害 | 耐性を持つウイルスが多いためほとんど用いられない |
まとめ:インフルエンザワクチンで感染・重症化を予防しよう
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、年齢ごとに接種回数・量が異なります。 接種が推奨されるのはハイリスク群に該当する人や、医療従事者や家族などハイリスク群によく接触する人です。
インフルエンザの怖い合併症として、インフルエンザ脳症とインフルエンザ肺炎が挙げられます。 インフルエンザワクチンを接種して、感染や重症化を予防しましょう。
