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骨の構造や代謝を徹底解説|ビスホスフォネートの適応疾患も紹介

適用部位
骨の構造や代謝を徹底解説|ビスホスフォネートの適応疾患も紹介

「骨代謝はどうやって行われているの?」
「ビスホスフォネートが用いられている疾患は?」
このような疑問を持っている人は少なくないのではないでしょうか。

本記事では、骨の構造や骨代謝の流れについて徹底解説。
ビスホスフォネートの適応疾患である、骨粗鬆症などについても詳しく紹介します。

本記事を読めば、骨代謝や骨粗鬆症について理解を深められます。
興味がある人はぜひ最後までご覧ください。

骨の構造

私たちの身体を形作っている骨は、表層部の「皮質骨」と深部の「海綿骨」から構成されています。
皮質骨と海綿骨の割合は骨ごとに異なり、手足の骨では皮質骨の割合が高く、椎骨(背骨を構成する骨)は海綿骨の割合が高いです。

皮質骨は、「オステオン」と呼ばれる単位で構成されており、密で硬い構造をしています。
主な組織は、「コラーゲン繊維」や「骨塩」などの成分からなる「骨基質」です。
次の見出しで解説する、骨代謝の回転が遅い点も特徴です。

海綿骨は「骨梁」と呼ばれる組織を形成しており、皮質骨よりも粗い構造をしています。
骨梁のすき間(骨梁間)は、赤血球や白血球、血小板などを産生している「骨髄」で満たされています。
また、骨代謝の回転が比較的速い点も特徴です。

骨代謝の概要

骨は吸収と形成という代謝を繰り返しており、組織構造を更新し続けています。
骨代謝の主な目的は、骨機能の維持と電解質バランスの恒常性維持です。
骨代謝がどのように行われているのか、詳しく見ていきましょう。

骨代謝に関わる細胞

骨代謝の流れを解説する前に、登場する細胞を紹介します。

破骨細胞 古くなった骨を分解・吸収する
骨芽細胞 類骨を合成・石灰化する
骨基質に入り込み骨細胞となる
骨細胞 骨組織のうち最も多くを占める
骨細胞同士や骨芽細胞との間で連結している(ギャップ結合)

※石灰化:カルシウムとリンを原料とする物質「ハイドロキシアパタイト」が沈着し、硬く丈夫になる
※類骨:骨基質の前段階であり、石灰化されることで骨基質となる

骨のリモデリング

骨は3~6ヵ月かけて更新されており、全身の骨が約2年でつくり替わっています。
骨組織の更新をリモデリングと言い、その流れは以下の通りです。

骨吸収(2~3週間) 骨基質が古くなり劣化すると破骨細胞が感知し、骨基質を分解・吸収する
骨形成(12~16週間) 骨吸収が行われた部位へ骨芽細胞が誘導され、類骨を産生・分泌する
骨芽細胞自身も、類骨を石灰化しながら骨基質に入り込み、骨細胞へと変化する
休止期 骨基質に入り込まなかった骨芽細胞が、骨基質を覆う「壁細胞」となる

骨代謝とカルシウム・リン

骨代謝は、体内の電解質バランスを維持するためにも欠かせません。
カギを握る物質が、副甲状腺という臓器から分泌されるホルモン「PTH」と、小腸から脂質と一緒に取り込まれる栄養素「ビタミンD」です。

PTH ・骨吸収を促進し、カルシウムとリンを血中に取り込む
・腎臓でのカルシウムの再吸収を促進し、リンの再吸収を抑制する
・腎臓にてビタミンDを活性化する
活性化ビタミンD 小腸におけるカルシウムとリンの吸収を促進する

※再吸収:腎臓で尿がつくられる過程の中で、尿中から血中に物質を移動させる

血中のカルシウムとリンは再び骨に戻り、骨形成の原料となります。
このように、骨・腎臓・小腸にPTH・活性化ビタミンDが作用することで、電解質のバランスが保たれているのです。

ビスホスフォネートの作用

重要な役割を担っている骨代謝ですが、何らかの原因により骨吸収と骨形成のバランスが崩れることがあります。
骨代謝のバランスが崩れると、骨密度の過度な上昇や低下を引き起こし、骨の強度低下に繋がります。

そんな骨代謝の異常に対して、用いられている薬剤の一つがビスホスフォネートです。
ビスホスフォネートは、破骨細胞の働きを阻害することで強い骨吸収抑制作用を持ち、骨吸収>骨形成という骨代謝異常に対して治療効果を発揮します。

ここからは、ビスホスフォネートがどのような疾患に対して使用されているのか見ていきましょう。

ビスホスフォネートの適応疾患:①骨粗鬆症

参考サイト
骨粗鬆症コラム Vol.2「骨粗鬆症の治療」|健診会 東京メディカルクリニック

骨粗鬆症は、骨の強度低下により骨折しやすくなる疾患です。
以下の観点から解説していきます。

  • 分類
  • 閉経によるメカニズム
  • 加齢によるメカニズム
  • 症状
  • 診断基準
  • 治療法

それぞれについて見ていきましょう。

分類

骨粗鬆症は、閉経や加齢が原因となって起こる原発性骨粗鬆症と、その他の原因によって起こる続発性骨粗鬆症に分類されます。
続発性骨粗鬆症の主な原因は以下の通りです。

内分泌・代謝疾患 ・糖尿病
・副甲状腺機能亢進症
・甲状腺機能亢進症
・クッシング症候群
・性腺機能不全症
先天性骨疾患 ・骨形成不全症
・マルファン症候群
膠原病 関節リウマチ
栄養性 ・慢性腎臓病
・吸収不良症候群
・原発性胆汁性胆管炎
薬剤性 ・副腎皮質ステロイド
・メトトレキサート
・ワルファリン
その他 ・長期臥床
・アルコール依存症

続発性骨粗鬆症は原発性骨粗鬆症よりも、症状が重くなりやすいと考えられています。

閉経によるメカニズム

女性ホルモンの一種であるエストロゲンには、破骨細胞の働きを阻害して骨吸収を抑制する作用があります。
閉経によりエストロゲンが欠乏することで、破骨細胞の働きが活発になり骨吸収が亢進するのです。

骨吸収の亢進に伴って、骨芽細胞の働きも活発になり骨形成も亢進します。
しかし、骨吸収のスピードが骨形成のスピードを上回るため、骨密度が低下していきます。

加齢によるメカニズム

加齢による食事量の減少などにより、ビタミンDやカルシウムの摂取量が減少します。
その結果、腸管からのカルシウム吸収が低下し、血中のカルシウム濃度も下がります。
そして、少なくなったカルシウムを補うためにPTHの分泌量が増加し、骨吸収が亢進するのです。

また、加齢に伴って骨芽細胞の数が減少したり、機能が低下したりします。
これらの変化により、骨形成が抑制されてしまいます。
骨吸収亢進と骨形成抑制が同時に起こることで、骨密度が低下していくのです。

症状

骨粗鬆症では以下のような症状がみられます。

  • 腰背部痛
  • 身長低下
  • 易骨折性(骨折しやすくなる)

以上のうち、特に重要な症状であるのが易骨折性です。

骨粗鬆症では、背骨を構成する椎体や太ももの骨である大腿骨の近位部に、骨折が起こりやすいです。
これらの骨折は、軽い日常生活動作や転倒などにより発生します。

椎体を骨折すると、背骨が曲がって身長が低下したり、内臓があるスペース(胸腔・腹腔)が小さくなったりします。
その結果、心機能・肺機能の低下や消化器疾患、神経障害などが生じやすくなるのです。

また、大腿骨近位部を骨折すると、疼痛や治療のために長期臥床を余儀なくされます。
その結果、筋力低下や心機能・肺機能の低下、認知障害などが生じやすくなるのです。

診断基準

骨粗鬆症の診断は、脆弱性骨折の有無や骨密度を基準として行われます。
※脆弱性骨折:軽度の外力により発生する骨折

骨密度の評価には、若年者の平均骨密度(YAM)が用いられています。
例えば、骨密度がYAMの90%であった場合、骨密度が若年者平均の90%である、ということです。

骨粗鬆症は、以下に該当する際に診断されます。

骨折部位 骨密度
椎体、大腿骨近位部 問わない(全例で骨粗鬆症と診断)
橈骨遠位端、上腕骨近位部、下腿骨、肋骨、骨盤 YAMの80%未満
骨折なし YAMの70%未満

治療法

骨粗鬆症の治療では、ビスホスフォネートなどによる薬物療法だけでなく、食事療法や運動療法なども行われます。

食事療法 ビタミンDを含む食品を摂取する
運動療法 ・骨に適度な負荷をかけて強度を高める
・筋力強化により転倒を防ぐ
薬物療法 活性型ビタミンD製剤や骨吸収抑制薬、骨形成促進薬など
生活の改善 ・転倒予防のため生活環境の整備
・ビタミンD合成のため日光浴
・エストロゲン低下抑制のため禁煙

ビスホスフォネートの適応疾患:②転移性骨腫瘍

転移性骨腫瘍とは、全身のどこかで発生した悪性腫瘍が骨に転移して起こる疾患です。
悪性腫瘍の原発巣としては以下が挙げられます。

肺・気管支 24.1%
乳房(ほぼ女性) 13.7%
腎臓 10.2%
前立腺(男性) 7.1%

転移先となる主な骨は以下の通りです。

  • 上腕骨
  • 肋骨
  • 脊椎
  • 骨盤
  • 大腿骨

このうち、脊椎への転移が最も多いと報告されています。
転移性骨腫瘍では、主に以下のような症状がみられます。

  • 疼痛
  • 易骨折性
  • 脊髄圧迫
  • 高カルシウム血症

ビスホスフォネートにより、易骨折性や高カルシウム血症の改善が期待できます。

ビスホスフォネートの適応疾患:③悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症

がん患者では、血中のカルシウム濃度が高い状態である、高カルシウム血症がみられることが少なくありません。
この状態を「悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症」と呼び、発症機序から以下の2つに分類されます。

分類 発症機序 主な原因
腫瘍随伴体液性高カルシウム血症 PTHと類似する作用を持つ物質「PTHrP」が腫瘍から分泌される 肺癌、扁平上皮癌、腎癌、膀胱癌、卵巣癌、ATL
局所性骨溶解性高カルシウム血症 骨に転移したり浸潤したりした腫瘍の作用により骨破壊が亢進する 多発性骨髄腫、乳癌、リンパ腫

ビスホスフォネートの副作用

参考サイト
骨粗鬆症|AR-Ex Medical Group

ビスホスフォネートの副作用として以下が挙げられます。

  • 顎骨壊死
  • 低カルシウム血症
  • 腹部不快感
  • 急性腎不全

これらの症状がみられた際は医療機関を受診しましょう。

まとめ:ビスホスフォネートで骨疾患を治療しよう

破骨細胞や骨芽細胞の働きにより、骨には骨吸収・骨形成といった代謝が起こっています。
骨代謝のバランスが崩れた時に用いられているのが、ビスホスフォネートに代表される様々な治療薬です。

ビスホスフォネートは骨粗鬆症をはじめ、転移性骨腫瘍や悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症に対しても使用されています。
副作用に注意しつつ、ビスホスフォネートで骨疾患を治療しましょう。

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