便が出なかったり、残便感を感じたりするような時は便秘の可能性があり、自力で排便できない場合には便秘薬を使用することがあります。
便秘薬は商品ごとに作用機序が異なる様々な成分が用いられており、薬剤の種類によっては習慣性がついたり、大腸を黒くしたりするようなものもあるため、注意しながら使用しなければなりません。
今回は数ある便秘薬の中でも新しい作用を持つクロライドチャネルアクチベーターを中心に解説していきます。
他の便秘薬との違いについても紹介しますので、クロライドチャネルアクチベーターを使用する方はもちろん、便秘薬選びで迷っている方も参考にしてください。
クロライドチャネルアクチベーターとは
クロライドチャネルアクチベーターは、小腸内で水分分泌を調整しているクロライドチャネル(clc-2チャネル)を活性化させる作用を持つ便秘薬です。
上皮機能変容薬に分類されるクロライドチャネルアクチベーターの便秘薬には、有効成分ルビプロストンを配合したアミティーザカプセル12μgとアミティーザカプセル24μgが先発医薬品としてヴィアトリス製薬から販売されています。
現段階では後発品・市販薬ともにありません。
アミティーザの作用機序・効果
アミティーザの有効成分ルビプロストンには、小腸上皮頂端膜にある水分分泌に関係するクロライドチャネルと呼ばれるクロライドイオンの通り道を活性化させることで、細胞内からクロライドイオンを小腸内に移動させ、水分を小腸内に分泌させる作用があります。
小腸内に水分が分泌されることで便が柔らかくなって移動しやすくなり、自然な排便を促し、便通を改善する効果があります。
アミティーザは、同じように腸内の水分を増やして便通を改善させる酸化マグネシウムよりも便通を改善する効果が高いと言われており、自発的排便が週3回未満である状態が半年以上続くような慢性便秘症に使われることが多い便秘薬です。
アミティーザを使用しても排便できない時には、酸化マグネシウムを追加処方して併用することもあります。
このような作用を持つクロライドチャネルアクチベーターのアミティーザは、他の便秘薬で問題となっている耐性や習慣性、大腸メラノーシスの心配が少なく、長期服用も可能であるとされています。
アミティーザの用法用量
アミティーザは通常成人にはルビプロストンに換算して1回24μgを1日2回、朝食後と夕食後に服用します。
ただし、肝臓や腎臓に障害がある方は服用を1日1回から開始するなどして、少量から慎重に使用していく必要があります。
アミティーザの副作用
クロライドチャネルアクチベーターのアミティーザは比較的安全性の高い便秘薬と言われているものの、副作用として下痢や吐き気、腹痛といった胃腸症状に加えて、気道過敏症や頭痛、めまい、眠気などが起こることもあります。
さらにごく稀な副作用として呼吸困難が報告されており、特に飲み始めの頃に発現しますが3時間以内には症状が落ち着くとされています。
もし、体調に違和感がある時には医師に相談し、指示に従ってください。
アミティーザの禁忌・飲み合わせ
アミティーザは過敏症や腸閉塞の方、妊婦の使用は禁止です。
特に妊婦は流産を引き起こす恐れを否定できないことから、妊娠の可能性がある方が使用する前には妊娠検査薬を行い、妊娠中でないことを確認してから服用します。
さらにアミティーザの服用中は避妊する必要もあります。
加えて、授乳婦も母乳へ成分が移行する可能性が高いことから、アミティーザを服用するのであれば、授乳を中止しなければなりません。
また、肝機能や腎機能に障害がある方、小児、高齢者、授乳婦も注意して使用してください。
相互作用に関する報告は現段階ではありませんが、思わぬ副作用を避けるためにも他の薬剤と併用する場合は医師や薬剤師に相談するとよいでしょう。
クロライドチャネルアクチベーター以外の便秘薬との違い
- 参考サイト
- 便秘外来|井の頭通り こう門科胃腸科
ここまでクロライドチャネルアクチベーターのアミティーザについて解説してきましたが、アミティーザ以外にも様々な種類の便秘薬があります。
ここでは代表的な便秘薬についてクロライドチャネルアクチベーターとの違いも含めて解説していきます。
酸化マグネシウムとの違い
酸化マグネシウムは塩類下剤に分類され、腸内に水分を引き込んで便を柔らかくして排便を促す作用を持っている便秘薬で、マグミットや重カマ、酸化マグネシウム、重酸化マグネシウムといった商品があります。
薬価が安いのが特徴で、他の便秘薬よりも費用負担が少ない点がメリットの1つと言えるでしょう。
アミティーザの適応は慢性便秘症だけですが、酸化マグネシウムには胃酸を中和して胃粘膜を保護する作用もあることから、胃炎や消化性潰瘍の治療にも使用されます。
酸化マグネシウム服用中は、身体にマグネシウムが蓄積し血清マグネシウム値が上昇して高マグネシウム血症を引き起こす恐れがあるため、マグネシウムの排出機能が低下している腎機能障害がある方や高齢者は注意して使用しなければなりません。
ただし、クロライドチャネルアクチベーターのアミティーザと同様に習慣性や耐性、大腸メラノーシスの心配は少ないとされています。
また、ニューキノロン系抗菌薬やテトラサイクリン系抗菌薬などの様々な種類の薬剤に影響を与える恐れがあることから、併用を希望する薬剤がある時には医師や薬剤師に相談してください。
さらにミルクアルカリ症候群を避けるためにも、カルシウムを多く含む牛乳や乳製品は控える必要があります。
リンゼスとの違い
リンゼスはアミティーザと同時に上皮機能変容薬に分類される便秘薬で、有効成分リナクロチドが腸管のグアニル酸シクラーゼC受容体を活性化させて腸管分泌や腸管輸送能を高め、便通を改善します。
さらにリンゼスには大腸炎やストレスが原因となる痛みを伝達する神経線維を落ち着かせ、腹痛や腹部の不快感も改善する作用もあるため、慢性便秘症に加えて便秘型過敏性腸症候群にも適応があります。
このようにクロライドチャネルアクチベーターのアミティーザが便通の改善だけなのに対して、リンゼスは痛みや不快感を緩和する特徴があるため、便秘の不快感が強い場合に使用することが多いです。
成人はリナクロチドに換算して0.5mgを1日1回食前に服用するのが基本で、下痢を予防するために食前に服用する点が、食後に服用するアミティーザと違う点です。
リンゼスの副作用は下痢や腹痛、吐き気、貧血や口渇、肝機能障害などがあり、しばらくすると落ち着くことがほとんどですが、症状が強かったり、長時間続いたりするような時には医師に相談してください。
グーフィスとの違い
グーフィスも上皮機能変容薬に分類されるエロビキシバットが主成分の便秘薬です。
エロビキシバットは胆汁酸トランスポーター阻害薬とも呼ばれ、胆汁酸トランスポーターという物質を阻害して大腸内に胆汁酸を流入させることで、大腸への水分分泌と消化管運動を促進させる作用があります。
このような作用を持つグーフィスは大腸の働きが低下している便秘に対して効果が高いとされ、習慣性や耐性、大腸メラノーシスが起きにくいことから毎日服用することも可能です。
グーフィスもリンゼスと同様に食前に服用する薬剤で、通常成人はエロビキシバットに換算して10mgを1日1回食前に服用します。
副作用として現れやすいのが腹痛と下痢で、腹痛に関しては筋肉痛のような軽い腹痛が約1週間続くとも言われ、さらに肝機能異常や好酸球数増加、月経困難症なども報告されています。
このような副作用があることから、グーフィスは過敏症、腸閉塞の方は使用禁止、妊婦においては有用性がリスクを上回る場合のみ使用を検討する相対禁止です。
そして、授乳婦に関してもリンゼスと同様に、薬剤を服用するのであれば授乳を中止する必要があります。
他にも、胆道閉塞や胆汁酸分泌低下、重い肝障害、小児、高齢者も副作用や持病悪化に注意しながら使用してください。
また、ウルソデオキシコール酸やケノデオキシコール酸などの胆汁酸製剤は作用を弱める可能性があるため、併用したい時は医師に相談しましょう。
プルゼニドとの違い
刺激性下剤に分類されるプルゼニドは有効成分センノシドを配合した便秘薬で、主に腸内細菌による分解物によって大腸の蠕動運動を促進させて排便を促す作用を持っています。
プルゼニドには準先発医薬品のプルゼニド錠に加え、後発品のセンノシド錠、センノシド顆粒などの処方薬があり、他にも様々な市販薬が販売されています。
重篤な副作用の報告はありませんが、副作用として腹痛や下痢、吐き気などが現れることがあります。
また、急性腹症や痙攣性便秘、重症硬結便、電解質失調、低カリウム血症の方に使用するとかえって症状が悪化する危険性があるため使用禁止、妊婦も相対禁止です。
センナという薬用植物に由来するアントラキノン系の下剤であるプルゼニドは効果が強力である一方、習慣性や耐性、大腸メラノーシスが起こりやすく、使いすぎると自然に排便する力が弱まります。
処方薬の場合は医師の指示通りに服用し、市販薬の場合は乱用しないように注意しましょう。
クロライドチャネルアクチベーターは上皮機能変容薬に分類される便秘薬
- 参考サイト
- アミティーザ|イーヘルスクリニック新宿院
クロライドチャネルアクチベーターであるアミティーザは、腸内の水分分泌を促進させて便を柔らかくすることで排便を促す便秘薬です。
下痢や吐き気などの副作用が報告されているものの、習慣性や耐性、大腸メラノーシスが起きにくいため、長期服用しても心配が少ないという特徴があります。
同じ上皮機能変容薬に分類されるリンゼスやグーフィスは作用機序こそ違うものの、同じように腸内に水分を充足させて排便を促進させる作用があり、こちらも長期服用しても習慣性や耐性などの心配が少ないとされています。
便秘薬の中にはプルゼニドのように使い続けることで、自然に排便する力が弱まってきてしまう刺激性下剤もあります。
薬剤だけに頼るのではなく、自力で排便できるように少しずつ身体を整えていくとよいでしょう。