聞きなれない名前の薬剤を出されると一体どんな効果があるのか気になってしまうものです。
ウルソデオキシコール酸は古くからある胆汁酸製剤ですが、どんな薬剤なのか自信を持って答えられる方はもしかしたら少ないかもしれません。
今回はこの胆汁酸製剤のウルソデオキシコール酸が持つ様々な効果と、ウルソデオキシコール酸が配合された処方薬と市販薬について紹介していきますので、正しく使用できるように薬剤の知識を深めていきましょう。
胆汁酸製剤ウルソデオキシコール酸とは
ウルソデオキシコール酸は胆汁に作用する胆汁酸製剤に分類される古くから使われている薬剤です。
速効性や強力な効果があるわけではありませんが、安全性が高く副作用も少ない薬剤であると言われています。
なお、似た名前の薬剤としてタウロウルソデオキシコール酸がありますが、こちらはウルソデオキシコール酸にタウリンが結合した抱合胆汁酸塩という違いがあります。
ウルソデオキシコール酸の効果
胆汁酸製剤ウルソデオキシコール酸には大きく3つの効果があります。
1.利胆作用
胆汁酸製剤ウルソデオキシコール酸の効果の1つめは、胆汁の流れを改善して胆石を融解する利胆作用です。
人間の体内にできる結石には、尿路にできる尿路結石や腎臓にできる腎結石など様々な種類がありますが、中でも肝臓や胆嚢、胆管にできる結石を胆石といい、胆石ができる病気を胆石症と呼んでいます。
胆石ができる原因は複数ありますが、最も多いとされるのがコレステロールが関わってできるコレステロール結石と呼ばれる胆石です。
コレステロール結石は、胆汁に含まれる胆汁酸とコレステロールのバランスが崩れることで結晶化し、胆嚢粘膜から分泌されるムチンというタンパク質によってくっつくことで塊になります。
この胆石ができたとしても約半数の方は無症状であるとされますが、5~10年後に胸やけや腹痛、発熱、吐き気といった症状が現れたり、血液中のピルビン値に異常が出ると黄疸になったりすることがあります。
さらに胆石が体内にある状態で胆嚢や胆管が細菌感染を起こすと、急性胆嚢炎や急性胆管炎を発症する可能性があり、重症化すると敗血症やショック状態を引き起こす危険性もあります。
これらのことから、胆石症の症状がある方は胆汁酸製剤などによる内科的治療や胆嚢摘出術による外科的治療を行って治療していきます。
内科的治療においては、胆汁分泌を促す胆汁酸製剤のウルソデオキシコール酸を使用し、胆汁の滞りを改善して胆石を溶かしていくのが一般的です。
ただし、胆汁酸製剤で胆石を融解させるのには小さなものでも半年以上の時間を要するため、大きい胆石や胆道が完全に詰まっているようなケースではウルソデオキシコール酸による治療は行えません。
2.肝機能改善作用
ウルソデオキシコール酸の2つめの効果は、肝臓の機能を改善する肝機能改善作用です。
実は、ウルソデオキシコール酸がC型慢性肝疾患における肝機能の改善に適応となったのは2007年3月と最近のことです。
それ以前は胆道系疾患やコレステロール胆石の治療などに使用されていましたが、ウルソデオキシコール酸に肝細胞障害性を軽減する効果やサイトカイン・ケモカイン産生を抑えるなどの肝機能改善作用があることが分かり、肝臓を保護する肝庇護薬として使われるようになりました。
それまで、C型慢性肝疾患の治療にはインターフェロンやリバビリンなどによる抗肝炎ウイルス療法が中心でしたが、これらの薬剤で十分な効果が得られない場合や、副作用が強く治療の継続が難しいような時には代替治療として、ウルソデオキシコール酸が用いられるようになりました。
ウルソデオキシコール酸には肝臓の炎症を抑えて、病気の進行を抑える作用があり、使用を続けると肝機能値が改善していくとされます。
それに加えて肝臓の血流が改善するため、胆石や胆汁がうっ滞しているような肝臓病に効果が現れやすいと言われています。
3.消化吸収改善作用
ウルソデオキシコール酸の3つめの効果は、消化吸収を改善する作用です。
食べ物は唾液や胃酸などで消化・分解されますが、脂肪は胆汁酸によって乳化されることで分解されやすくなります。
この時胆汁酸が十分にあれば問題なく消化吸収されますが、不足していると脂肪の消化吸収がうまくできず、胃もたれや食欲不振などの症状が現れることがあります。
このような胆汁酸の不足による消化吸収の滞りは、胆汁酸の分泌を促進させる作用があるウルソデオキシコール酸を服用することで症状の改善が見込めことから、炎症性小腸疾患や小腸切除後の消化不良などに使用されます。
ウルソデオキシコール酸の用法用量
ウルソデオキシコール酸は適応する病気によって、用法用量が異なるのが特徴です。
まず、胆石症による利胆作用や慢性肝炎における肝機能の改善、炎症性小腸疾患などが原因となる消化不良には、ウルソデオキシコール酸に換算して、通常成人1回50mgを1日3回服用します。
外殻石灰化していないコレステロール系胆石の溶解、原発性胆汁性肝硬変による肝機能の改善には、ウルソデオキシコール酸に換算して成人1日600mgを3回に分けて服用します。
また、C型慢性肝疾患における肝機能の改善の場合はウルソデオキシコール酸に換算して通常成人600mgを3回に分けて服用しますが、症状によっては1日最大900mgまで使用することが可能です。
胆石は夜間に大きくなるといわれていることから、症状によっては夕食後や就寝前に飲むようにタイミングを指示されることがあります。
また、胆石は小さくても溶けるまで半年以上かかることがほとんどであり、慢性肝炎でも継続して服用するケースが多いです。
これらのことからも、ウルソデオキシコール酸は長期服用することが多い薬剤なので、用法用量を守って正しく使用するよう心掛けてください。
ウルソデオキシコール酸の副作用
ウルソデオキシコール酸の副作用として下痢、吐き気、食欲不振、発疹、痒みなどの症状が現れることがあり、重篤な副作用としてごく稀に間質性肺炎を引き起こす恐れもあります。
間質性肺炎を防ぐためにも、空咳や息苦しさ、発熱などの初期症状が見られた時には速やかに医療機関を受診しましょう。
また、ウルソデオキシコール酸を飲むと?せるといった類の噂があるようですが、減量の効果はありません。
ただし、服用中の副作用による吐き気や食欲不振によって、結果として?せてしまうことがあるかもしれません。
ウルソデオキシコール酸の禁忌
副作用の危険の少ないウルソデオキシコール酸ですが、完全胆道閉塞や劇症肝炎は使用禁止、動物実験の妊娠中の大量投与によって胎仔毒性が報告されていることから、妊婦は有用性がリスクを上回る場合のみ使用を検討してください。
それらに加え、重篤な膵疾患、消化性潰瘍、C型慢性肝疾患で強く黄疸が出ている、胆管に胆石があるなどの方、高齢者は注意して服用してください。
さらに母乳への移行が確認されているため、授乳婦も服用には注意が必要です。
飲み合わせに関しても、高コレステロール血症治療のコレスチラミンやコレスチミド、制酸薬の水酸化アルミニウムなどと服用するとウルソデオキシコール酸の作用が弱まってしまう恐れがあるので、併用の必要がある時には医師に相談してください。
多くの場合は、薬剤の間隔を2~3時間空けることで影響を受けにくいとされています。
ウルソデオキシコール酸の処方薬と市販薬
ここまでウルソデオキシコール酸の効果や副作用について理解を深めてきました。
では実際に使用する薬剤にはどんな商品があるのかを、処方薬と市販薬に分けて紹介していきます。
ウルソデオキシコール酸の処方薬
有効成分ウルソデオキシコール酸を含む処方薬の準先発薬は、田辺三菱製薬のウルソ錠50mg、ウルソ錠100mg、ウルソ顆粒5%です。
後発品には全星薬品工業や日本ジェネリックをはじめとする複数の製薬会社から、ウルソデオキシコール酸錠50mgやウルソデオキシコール酸100mgが発売されています。
処方薬の適応は、コレステロール系胆石の溶解、慢性肝疾患における肝機能の改善、小腸切除後や炎症性小腸疾患による消化不良の改善、慢性肝疾患・原発性胆汁性肝硬変・C型慢性肝疾患における肝機能の改善などで、幅広い病気の治療に使用されるのが特徴です。
ウルソデオキシコール酸の市販薬
ウルソデオキシコール酸は市販薬としても販売されていますが、脂肪の消化不良が原因となる胃もたれの改善が効能です。
そのため、胆石の溶解や肝炎の治療には使用できないので注意してください。
ウルソデオキシコール酸が有効成分として配合されている市販薬には、田辺三菱製薬のタナベ胃腸薬ウルソ、佐藤製薬のハイウルソ顆粒などがあり、商品によってはウルソデオキシコール酸以外の成分が配合されていることもあります。
胆汁酸製剤ウルソデオキシコール酸は肝庇護薬・消化促進薬として使用されることも
胆汁酸製剤ウルソデオキシコール酸は、古くから使われている胆汁に作用する薬剤です。
その効能は幅広く、コレステロール結石を融解して胆石症を改善する効果や胆汁酸不足による消化不良の改善に加え、肝臓の炎症抑制や血流を促して肝機能を高めて肝機能値を改善させる効果があるとされています。
そのため、胆石症、慢性肝炎、炎症性小腸疾患や小腸切除後の消化不良に使用されます。
しかしながら、これら幅広い効能を持つのは処方薬のみで、市販薬においては胆汁酸不足による消化不良改善にしか使用できません。
ウルソデオキシコール酸は比較的副作用の少ない薬剤と言われていますが、下痢や吐き気などの症状が現れることがあり、重篤な副作用として間質性肺炎の報告もされています。
服用中、体調に違和感を覚えた時には処方薬・市販薬問わず、速やかに医師または薬剤師に相談してください。