立ちくらみやふらつきに処方されるドプスという薬は、体内でノルアドレナリンという神経伝達物質に変化して、主に血圧を安定させる作用があります。
特にパーキンソン病や起立性低血圧、透析患者の血圧低下などに対して使用されることが多く、すくみ足や立ちくらみなどの症状を改善する効果があります。
本記事ではドプスの作用機序や副作用などを解説しますので、ドプスの効果に不安や疑問を持っている方は参考にしてください。
ドプスとは何の薬か
ドプスは血圧が低下することで生じるふらつきや立ちくらみなどの症状に用いられる薬剤で、神経に作用するのが特徴です。
特に起立性低血圧やパーキンソン病に伴う立ちくらみ、すくみ足などの症状に対して処方されることが多くなっています。
ドプスはドロキシドパを有効成分とする薬剤で、交感神経系に関与するノルアドレナリンの前駆体として働きます。
ドプスを服用すると体内でノルアドレナリンに変換され、血管を収縮させて血圧を上昇させる作用によって、起立時に急に血圧が下がる起立性低血圧や、脳への血流が不足してめまいが起きやすくなる起立性調節障害などの改善が期待できます。
また、パーキンソン病はドパミン不足によって起こるとされていますが、実際にはノルアドレナリンの低下も関与しているといわれています。
神経伝達物質であるノルアドレナリンはドパミンが変換して生成されるため、ドパミンが不足することで発症するパーキンソン病では、同時にノルアドレナリン不足に陥りやすいのです。
このような症状に対してドプスでノルアドレナリンを補充すると、すくみ足や立ちくらみの改善が見られるとされています。
また、透析治療においてドプスを使用することで、治療中や治療後に血圧が低下するのを防いで血圧を安定させます。
このようにドプスは様々な疾患や症状に応じて使用されていることから、単なる昇圧剤ではなく、神経伝達物質の補充を通じて幅広い症状の緩和に貢献する薬剤といえるでしょう。
ドプスとノルアドレナリンの関係と作用機序
ドプスには主に体内でノルアドレナリンに変換される作用と、ノルアドレナリンによって血管を収縮させて血圧を上昇させる作用があります。
これはノルアドレナリンが交感神経に属する神経伝達物質で、血圧の維持やストレス反応、集中力の調整などに関わっているためです。
健康な人では立ち上がるなどの体位変化が起こると、自律神経の働きによってノルアドレナリンが分泌され、血管を収縮させて血圧の急激な低下を防ぎますが、パーキンソン病や自律神経失調などがあるとこの仕組みがうまく機能せず、血圧が急激に低下して立ちくらみや失神を起こすことがあります。
ドプスはこうしたノルアドレナリン不足を補う薬剤です。
服用すると体内で酵素の働きによってドプスがノルアドレナリンに変換され、主に末梢血管を収縮させて血圧を上げます。
さらにノルアドレナリンとなって脳内にも届き、すくみ足などの症状も改善する効果もあります。
また、ドプスの昇圧作用は比較的穏やかで持続性があり、急激な血圧の上昇を引き起こしにくいという特徴があります。
そのため、高齢者や透析患者のように血圧の急変がリスクとなる方にとっても使用しやすいとされています。
ドプスが使われる疾患と症状
ドプスは様々な病気の治療に使用される薬剤で、作用も1つだけではありません。
ここではパーキンソン病や起立性低血圧、透析時の血圧低下において期待できる効果について具体的に確認していきます。
パーキンソン病に伴うすくみ足や立ちくらみ
パーキンソン病はドパミンの減少に加えて、ノルアドレナリンが不足することも要因となり、立ちくらみやすくみ足などの症状を引き起こします。
歩き出そうとしても脚が前に出にくくなるすくみ足は、身体のバランスが崩れやすく、転倒の大きなリスクとなります。
ドプスが体内でノルアドレナリンに変換されると運動機能が改善されてすくみ足が改善され、さらに血圧を安定させる作用によって血圧低下による立ちくらみも予防します。
起立性低血圧や起立性調節障害
自律神経の調整がうまくいかなくなると、立ち上がった際に血圧が急激に低下する起立性低血圧や、若年層に多いとされる起床時にめまいや失神などが起きる起立性調節障害が生じることがあります。
ドプスはこれらの症状に対しても処方されることがあり、特に朝起きた時の立ちくらみや午前中の倦怠感が強い患者さんに対して、血圧を安定させる目的で用いられます。
ドプスでルアドレナリンを補うことによって、体位変化に対する反応を助け、症状の緩和が期待できます。
透析時の血圧低下
慢性腎不全の治療として行われる透析では、体内の水分が急激に抜けることにより、血圧が著しく低下することがあります。
特に高齢者や心機能が低下している場合には透析中の血圧管理が難しく、低血圧により治療を中断しなければならないケースもあります。
このような症状に対して透析前にドプスを服用することで、ノルアドレナリンによる昇圧作用が起こり、透析中の血圧低下を防ぎます。
ドプスは作用が穏やかで持続性があるため、透析患者にも比較的使いやすい薬剤とされています。
ドプスの使い方と服用の注意点
パーキンソン病の場合、ドプスは成人であればドロキシドパに換算して1日100mgを1回から服用を開始し、隔日に100mgずつ増量していきます。
1日600mgを3回に分けて服用するのが標準の維持量ですが、年齢や症状によって量は増減します。
ただし、1日に900mgを超えないようにしなければなりません。
シャイドレーガー症候群や家族性アミロイドポリニューロパチーにおける起立性低血圧の場合は、ドロキシドパに換算して1日200?300mgを2?3回に分けて服用します。
その数日から1週間ごとに1日100mgずつ増量して、最適量を見極めていきます。
このときも1日900mgを超えないようにする必要があります。
また、血液透析患者の場合は、ドロキシドパに換算して1回200~400mgを透析開始の30~60分前に服用しますが、1回400mgを超えないように調整します。
1ヵ月間投与しても効果があらわれない時には、使用を中止します。
ドプスの副作用と併用時の注意点
ドプスは比較的安全性の高い薬ですが、他の昇圧剤やパーキンソン病治療薬と併用されることが多く、副作用や相互作用には十分な注意が必要です。
ここでは、代表的な副作用と、併用時に考慮すべきポイントについて解説します。
ドプスの主な副作用と注意すべき症状
ドプスの副作用としてよく報告されるのは血圧の過度な上昇や頭痛、動悸、顔のほてり、吐き気などで、稀に幻覚や妄想などがあらわれることもあります。
重篤な副作用として報告のある悪性症候群や白血球減少などは初期症状に注意する必要があります。
悪性症候群では急な発熱、筋肉のこわばり、手足のふるえなどが、白血球減少ではのどの痛み、鼻血、頭痛などが初期症状としてあらわれるので、服用中に異変を感じた時には速やかに医師に相談してください。
他の薬との飲み合わせ
ドプスは単独で使われることもありますが、適応する病気の特性上、他の薬剤と併用して使用するケースが多い薬剤でもあります。
もし、他の薬剤と併用を希望する時には、必ず医師に相談してください。
ドプスに影響を及ぼす薬には次のようなものがあります。
まず、交感神経刺激作用を持つイソプレナリンなどのカテコールアミン製剤は、心臓刺激作用が強まりすぎてしまうため併用禁止です。
他にもイソプレナリンや三環系抗うつ薬、エルゴタミン、抗ヒスタミンをはじめとする複数の薬剤で、飲み合わせに注意が必要とされています。
また、鉄分はドプスの作用を弱めてしまうため、鉄剤や鉄分サプリメントも避けてください。
ドプスだけに頼らないノルアドレナリンを増やす生活のポイント
ノルアドレナリンは血圧や集中力、意欲に関わる神経伝達物質であり、ドプスのような薬剤で補うことも大切ですが、日常生活の中で分泌を促す工夫を取り入れることで、より安定した状態を保てます。
ここでは、ノルアドレナリンを増やすために意識したい生活習慣を紹介します。
適度な運動を習慣づける
ノルアドレナリンの分泌には、有酸素運動が効果的だとされています。
激しい運動をする必要はなく、ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなどを約15?30分行うことで自律神経の働きが整い、血流も改善されます。
運動によって脳が刺激されて神経伝達物質の合成が促されるため、気分の安定や疲れにくさにもつながります。
タンパク質を意識したバランスのよい食事
ノルアドレナリンはチロシンというアミノ酸から作られます。
チロシンはバナナ、アボカド、肉類や魚、大豆製品、卵、チーズなどに多く含まれているため、日々の食事で意識的に取り入れることが大切です。
睡眠・ストレス管理で自律神経を整える
良質な睡眠と規則正しい生活リズムは、ノルアドレナリンの安定した分泌に直結します。
睡眠が不足したり、就寝時間が日によってばらつくと、自律神経の働きが乱れ、体調を崩しやすくなるので注意してください。
また、強いストレスが長期間続くとノルアドレナリンの分泌が一時的に増えるものの、次第に分泌能力が低下するため、緊張とリラックスのバランスを保つことが大切です。
深呼吸や音楽、趣味の時間を取り入れるなど、自分に合った方法で心身を整える工夫をするとよいでしょう。
ドプスはノルアドレナリンを補充する薬
ドプスは、ノルアドレナリンの不足によって起こる立ちくらみやふらつき、すくみ足などの症状を改善する薬剤で、パーキンソン病や起立性低血圧、透析時の血圧低下など、様々な場面で使用されます。
しかしながら、副作用があったり飲み合わせに注意が必要な薬剤も多かったりするため、自己判断による増量や他の薬剤との併用は避けるべきといえます。
気になる症状がある場合は医師や薬剤師に相談し、正しく服用しましょう。