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ハーセプチンの副作用とは?症状の特徴・脱毛・太るなどの影響と生活での対処法

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ハーセプチンの副作用とは?症状の特徴・脱毛・太るなどの影響と生活での対処法

ハーセプチンはHER2陽性乳がんの治療に欠かせない分子標的薬の1つであり、手術前後の補助療法や再発・転移時の治療にも幅広く使用され、多くの患者さんにとって治療効果の高い選択肢となっています。

一方で、ハーセプチンには他の抗がん剤とは異なる特有の副作用があり、治療を受けるうえで不安になることも少なくありません。 たとえば、心機能への影響や皮膚症状、倦怠感のほか、脱毛があるのか、体重が増えるのかといった身体的変化への疑問を抱くことも多いでしょう。 さらに、副作用がどのくらいの期間続くのか、日常生活にどのような影響があるのかといった点も、治療に向き合う際に気にかかる点といえます。

今回はハーセプチンの副作用の特徴や脱毛・体重増加・皮膚への影響といった症状に加え、生活面での工夫、公的支援制度の活用方法、他の薬剤との違いまで解説します。 正しい知識を備えて副作用への不安を軽減しながら、前向きに治療に取り組んでいきましょう。

ハーセプチンとはどんな薬か

一般名をトラスツズマブというハーセプチンは、HER2と呼ばれるタンパク質に着目した分子標的治療薬です。 ここでは、HER2陽性乳がんの診断を受けた場合に治療の中心となるハーセプチンの作用の仕組みや、乳がん治療における位置づけについて解説していきます。

HER2陽性乳がんに対するハーセプチンの作用メカニズム

HER2と呼ばれるヒト上皮成長因子受容体2型は細胞の表面に存在するタンパク質で、細胞の増殖や分裂に関わっています。

このHER2が過剰に発現しているHER2陽性乳がんは、がん細胞の増殖スピードが速く、進行や再発のリスクが高いため、治療においては特別な対策が必要です。 この時に治療の中心として選択されるのがハーセプチンをはじめとする分子標的薬です。

化学療法剤と呼ばれる抗がん剤ががん細胞とともに正常細胞をも攻撃してしまうのに対し、ハーセプチンはこのHER2に対して特異的に作用する分子標的薬のため、正常細胞にあまり作用しないという特徴があります。

さらにハーセプチンがHER2を標的にしてがん細胞の増殖信号を遮断し、異常な細胞分裂を抑制します。 これにより、体内の免疫細胞がハーセプチンと結合したがん細胞を攻撃しやすくなり、免疫による攻撃力も高まるとされています。

このようにがん細胞の特定の特徴を狙い撃ちすることができるハーセプチンは従来の抗がん剤とは異なり、より効果的にかつ正常な細胞への影響を抑えながら治療を行えるのです。

乳がん治療におけるハーセプチンの位置づけ

ハーセプチンはHER2陽性乳がんに対する標準治療の1つとして広く使用されており、使用される場面は大きく3つあります。

1つ目は、手術後の再発予防として使用される術後補助療法です。 がんを切除した後、体内にわずかに残っている可能性のあるがん細胞を排除する目的で、ハーセプチンが1年間投与し、再発を防止します。 この時ハーセプチンを単独、またはタキサン系抗がん剤などと併用して使用します。

2つ目は、手術前にがんを縮小させる術前化学療法としての使用です。 術前にハーセプチンと化学療法を併用することで、腫瘍を小さくし、手術の成功率を高めることが期待できます。

3つ目は、がんが再発または転移した場合の治療としての使用です。 進行乳がんに対しては、タキサン系抗がん剤やビンカアカルロイド系抗がん剤といった他の薬剤と併用して、長期にわたり治療が行われることがあります。

治療の目的や進行度に応じて使用される期間や組み合わせは異なりますが、ハーセプチンがHER2陽性乳がんに対する中心的な薬剤であることに変わりはありません。

ハーセプチンの副作用による症状と影響

ハーセプチンはHER2陽性乳がんに対して効果の高い治療薬である一方で、他の抗がん剤とは少し異なる副作用が生じることがあります。 ここでは治療を受けるにあたって知っておきたい副作用の特徴と、その中でも特に注意が必要な症状について解説します。

ハーセプチンの主な副作用

ハーセプチンによる副作用の中でも、最も注意が必要とされているのが心機能への影響です。 心機能が低下すると心不全や心筋障害といった重大な有害事象に繋がる可能性があるため、定期的な心エコー検査や血液検査によるモニタリングを行うことが重要です。

心機能の低下は自覚症状がないまま進行することもあるため、次のような症状が見られた場合には速やかに医療機関へ相談する必要があります。

  • 安静時に息切れするようになった
  • 平面を歩いただけで脈拍が早くなるのを感じる
  • 仰向けになると息苦しい
  • 足首や腕がむくむ

特に心疾患を抱えている方や高齢者では、さらにリスクが高まるため、体調の変化に注意を払うことが大切です。

また、その他の副作用として、アナフィラキシーや発熱、寒気、吐き気、頭痛、咳などの症状も報告されています。 これら副作用は初回投与時に出やすい傾向があるため、慎重に体調の変化を見守る必要があります。

脱毛・体重増加・皮膚トラブルなどについて

ハーセプチン単独では一般的に強い脱毛は起こりにくいとされていますが、副作用で脱毛症が起きたという報告もあります。 これに加えて、併用されることが多いタキサン系抗がん剤のパクリタキセルの影響によって脱毛の症状が強く出るケースがあるとされています。

また、体重に関しての副作用には増加と減少の両方の報告があります。 HER2過剰発現が確認された乳癌における術後の薬物療法においては体重増加の可能性がある一方、HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌においては体重減少と体重増加の両方が報告されています。

皮膚への影響としては、かゆみや乾燥、発疹といった皮膚症状があげられます。 酷くなると皮膚がひび割れたり、水ぶくれができたりして生活に支障をきたす恐れもあるため、保湿クリームなどによる丁寧なスキンケアが必要とされています。

ハーセプチンの副作用はいつまで続く?生活への影響と対処法

ハーセプチンの副作用は一時的なものから長期的に続くものまであるため、治療と日常生活を両立させるためにも副作用の期間や対処法について理解しておくことが重要です。 ここでは症状が現れやすい時期やその持続期間、生活への影響、そして心身の負担を和らげる工夫について解説します。

副作用が現れるタイミングと持続期間

ハーセプチンの副作用は投与のタイミングや併用薬によって異なりますが、初回投与時にインフュージョンリアクションと呼ばれる反応によって、発熱や悪寒などが強く出る傾向があります。

インフュージョンリアクションはハーセプチン投与中や投与後24時間以内に起こることが多く、一過性のアレルギー反応や炎症などが原因と考えられています。 ほとんどの場合、症状は数日以内に落ち着き、約9割の方は2回目の治療から症状が出ないともいわれています。

一方で、倦怠感や皮膚のかゆみ、むくみといった症状は個人差があるものの、長期にわたって持続する場合があります。 特に爪の割れや欠け、変色などは投与開始から5?6ヵ月以降に見られ始めることが多いため、注意してください。

また、心機能の低下は無症状で進行することもあるので、治療終了後であっても定期的な心エコー検査や血液検査を継続することが勧められています。

日常生活における体調管理の工夫

副作用による身体的負担を軽減するためには、日々の生活習慣を整えることが大切です。

まず、食事については高タンパク・低脂肪を意識し、バランスのとれた栄養を摂るようにします。 治療によって味覚が変化する場合もあるため、食べやすいものを見つけて無理のない食生活を心がけましょう。

さらに睡眠と休養に気を配り、倦怠感が強い日には無理をせず、横になる時間を増やすなど柔軟に対応することも大切です。 睡眠が浅くなるようであれば、照明や寝具など環境を整える工夫をしたり、辛い時には医師に相談して睡眠薬などの処方を受けたりするとよいでしょう。

また、運動はむくみや体力低下の予防に繋がるので、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を無理のない範囲で取り入れてみてください。 ただし、体調が優れない時には、無理やり運動せずにゆっくり休むことが大切です。

精神的ストレスの向き合い方

副作用による心身の不調は身体だけでなく精神面にも影響を及ぼし、治療の長期化や体調の変化は不安や孤独感、将来への焦りなどを引き起こすことがあります。 特に周囲に同じ経験をした人がいない場合、気持ちを共有できずに一人で抱え込んでしまうケースも少なくありません。

このような状況で悩んでいる時には、医師に相談することに加えて、がん患者支援団体やピアサポートを活用することも検討してください。 このようなサポート団体によるオンラインの交流会や相談窓口では、同じ治療を経験した人の声を聞くことができ、安心感や実践的なアドバイスが得られることもあります。

また、精神的な負担を軽減するためには、必要な情報を必要な範囲で受け取ることも重要です。 やみくもにインターネットを検索して不安を煽るよりも、信頼できる情報だけを取得して心穏やかに過ごしましょう。

ハーセプチン治療にかかる費用と公的支援制度

ハーセプチンは高額な医薬品であるため、治療にかかる費用に不安を感じる方も少なくありません。 ここでは費用の目安や保険適用の範囲、公的な支援制度について詳しく解説していきます。

治療費の目安と保険適用範囲

ハーセプチンの薬剤費は初回と2回目以降で費用が異なり、さらに体重による用量や投与間隔によって変動します。

例えば、体重60kgが1週間隔による投与を行う場合を例にあげると、1回あたりのハーセプチンの費用は初回が95,540円、2回目以降が47,770円です。 ただし、日本国内ではハーセプチンは公的医療保険の適用対象のため、健康保険証を使って治療を受ける場合には所得に応じて1?3割に負担が軽減されます。

3割負担の場合の1回あたりのハーセプチンの費用は、初回が28,662円、2回目以降は14,331円です。 同じ条件で3週間隔で投与を行う場合の3割負担を例にあげると、初回が55,098円、2回目以降は40,767円となります。

ここまではハーセプチンだけの薬剤費であり、がん治療においては入院・検査・診察料など他の費用も発生します。 これら費用も保険対象に含まれるため、全額を負担するわけではありませんが、治療期間の長さを考えると治療には大きなお金が必要となることを理解しておきましょう。

高額療養費制度などの金銭的支援

高額療養費制度は、1ヵ月間に支払った医療費が一定額を超えた場合、その超過分が払い戻される制度です。 日本国内では健康保険に加入していれば誰でも利用できる制度であり、がんのような高額な費用がかかる治療において、自己負担額を軽減することが期待できます。

自己負担の上限は年齢や所得に応じて決められており、たとえば年収370万円?770万円の69歳以下の方であれば、1世帯あたり月額約8万円が目安です。 外来や入院などによって、この上限を超えた金額は後日申請すれば戻ってくるのがこの制度の仕組みです。

また、治療を継続的に受ける場合には「限度額適用認定証」を事前に申請することで、支払いの段階から自己負担上限額までに抑えることができます。 入院や投薬治療のたびに高額な支出が発生するがん治療では、治療費を立替える負担を軽減できる便利な制度です。

さらに、自治体によっては医療費の補助や交通費支援、医療用ウィッグ購入補助など、がん患者への独自の助成制度を設けているところもあります。 お住まいの自治体の情報を確認し、できるだけ治療にかかる負担を軽減していきましょう。

乳がん治療の流れとHER2治療の選択肢

乳がんの治療はがんの種類や進行度、患者さんの年齢や体調などによって内容が大きく異なり、特にHER2陽性乳がんの場合は、ハーセプチンをはじめとする分子標的薬を含む治療が標準とされています。 ここでは乳がん治療の流れと、HER2治療に用いられる主な薬剤の特徴について解説します。

乳がん治療の基本ステップとHER2陽性の特徴

乳がんの初期治療の標準の流れはガイドラインに定められており、がんの進行段階によって治療法が異なります。

1つ目は手術によって物理的にがんを取り除く手術療法で、手術でがんをすべて摘出できる段階で選択されることが多い治療法です。 がんの大きさや位置、転移の有無によって部分切除や乳房全摘などの方法を選択しますが、術後に乳房がどのような形になるのかを手術前に確認して理解しておくことが大切です。

2つ目は術後の再発予防や術前に腫瘍を縮小させる目的で行われる薬物療法です。 この薬物療法には化学療法・ホルモン療法・分子標的療法などが含まれており、ここまでお話してきたハーセプチンもこの薬物療法に該当します。

3つ目はがん細胞の残存を防ぐ放射線治療です。 乳房温存手術後やリンパ節への転移が疑われる場合などに、放射線でがん細胞の遺伝子を攻撃して増殖を抑制します。

そして、これら治療のあとに再発や転移を防ぐ目的で、長期的な薬物療法が行われます。 HER2陽性乳がんでは、がん細胞の増殖を促すHER2タンパク質の過剰な発現を抑えるために、HER2を標的とした分子標的薬での治療を継続します。

ハーセプチン以外のHER2治療薬

HER2陽性乳がんの治療では、ハーセプチンのほかにも複数の分子標的薬が用いられており、それぞれ特徴が異なります。

一般名をペルツズマブというパージェタは、ハーセプチンと異なる部位に作用する分子標的薬です。 ハーセプチンと併用することでHER2を二重にブロックし、より強力な抗腫瘍効果が得られる特徴がある一方で、副作用の下痢がやや強く出ることがあります。

また、一般名をトラスツズマブ エムタンシンというカドサイラは、ハーセプチンとエムタンシンという抗がん剤が一体となった抗体薬物複合体です。 術前化学療法後の手術病理結果で腫瘍が残っている場合に適応しますが、吐き気や疲労感、肝機能障害といった副作用が出やすくなることがあります。

ハーセプチンの副作用を正しく理解し安心して治療に向き合う

ハーセプチンはHER2陽性乳がんにおいて高い治療効果が期待できる一方で、心機能への影響や皮膚症状などの特徴的な副作用が生じることがあります。 脱毛や体重変化などの体調面の変化に不安を感じる方も多いですが、副作用の特徴を事前に理解して適切に備えることで、安心して治療を続けることが可能です。

近年はパージェタやカドサイラなど治療の選択肢も広がっており、予後の改善も進んでいます。 経済的負担を軽減する支援制度も活用しながら、医師や支援機関と連携し、自分に合った治療に前向きに取り組んでいきましょう。

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