膵臓の働きが弱まり、食事の消化・吸収に必要な膵消化酵素の分泌が低下すると、体内に栄養素を吸収できなくなったり、便に異常が現れたりします。
このような場合に使用される薬剤の1つが、高力価消化薬に分類されるリパクレオンです。
今回は高力価消化薬のリパクレオンの効果・副作用などに加えて、リパクレオンが販売中止となった理由について解説していきます。
さらに膵臓に優しい生活を送るためのポイントも紹介するので、膵臓の病気を予防したい方も参考にしてください。
高力価消化薬とは
リパクレオンの解説を始める前に高力価消化薬とはどんな薬なのかについて触れておきます。
薬には「力価」という薬剤の強さを示す言葉があり、この力価は薬剤が一定の効果を発揮するときの必要な量に基づいて表されます。
例えば、Aの薬剤が10mgで血圧を低下させたのに対し、Bの薬剤は30mgで同様の効果を得られた場合、Aの薬はBの薬の3倍の力価があると判断できます。
そうなるとBの薬剤よりもAの薬剤の方が優れているように感じるかもしれませんが、必ずしもそうとは言えません。
薬剤は力価以外にも、薬剤の能力を評価する効力や実際の現場での使いやすさを評価する有効性といった面を考慮し、副作用や効果の持続時間、コストなどを総合的に鑑みながら、それぞれの患者さんに合った薬剤を選択することが大切です。
そのため、高力価消化薬だから低力価消化薬よりも優れているという短絡的に判断を下すのではなく、多角的な視点で薬剤を評価して病気の症状や自分の身体に合った薬剤を選んでいくことが重要と言えます。
高力価消化薬リパクレオンとは
体内に不足した消化酵素を補う目的で使用される消化酵素補充薬には、パンクレアチンやベリチーム、エクセラーゼといった商品があります。
この中のパンクレアチンを高度に抽出した製剤がリパクレオンであり、パンクレアチンよりも少ない薬剤の量で効果を発揮するのが特徴です。
具体的にはパンクレアチンと比較して、アミラーゼでおよそ6倍、プロテアーゼでおよそ7倍、リパーゼでおよそ8倍の高い力価の酵素活性を示すとされています。
リパクレオンの効果
リパクレオンはブタの膵臓から精製した膵酵素で、炭水化物を消化するアミラーゼ、脂質を消化するリパーゼ、タンパク質を消化するプロテアーゼが含まれていることから、慢性膵炎や膵切除、膵嚢胞線維症などが原因で起こる膵外分泌機能不全の膵消化酵素の補充に使用します。
膵臓は胃の後ろにある臓器で、ホルモンを分泌する内分泌機能と消化液を分泌する外分泌機能を持ち合わせており、食事を消化する役割とホルモンによって糖をエネルギーに変化させる役割の2つがあります。
そのため、病気などによって膵臓の機能が低下すると消化・吸収が滞り、栄養やエネルギー不足に陥ってしまいます。
このような場合に膵消化酵素補充薬であるリパクレオンを用いることで消化吸収を助け、消化不良や便の異常、栄養状態を改善します。
一部でリパクレオンを内服すると?せるという噂があるようですが、食事の消化・吸収を促進する作用を持つことから体重の減少を抑える効果が期待できます。
つまり、リパクレオンを服用すると痩せるのではなく、どちらかと言えば太る傾向にあると言えるでしょう。
リパクレオンの用法用量
リパクレオンにはリパクレオン顆粒300mg分包と、リパクレオンカプセル150mgの2種類があります。
どちらもパンクレリパーゼに換算して1回600mg、つまり散剤は2包・カプセルは4カプセルを1日3回、食事の直後に服用します。
リパクレオンは食事と薬に配合された消化酵素と食事が胃の中で混ざり合うことで消化吸収を促進させる薬剤のため、食事から時間が経ってからの服用では、消化吸収のタイミングとずれてしまい効果が発揮できません。
このことからも、食事後すぐに服用することが大切で、飲み忘れてしまった場合はその分は服用せず、次の服用時間に1回分だけ飲むようにしてください。
リパクレオンの副作用
リパクレオンは副作用が少ない薬剤ですが、かゆみや発疹、蕁麻疹などの皮膚症状、下痢や便秘、吐き気などの消化器症状が起こる可能性があります。
他にも高血糖や糖尿病の悪化、高血圧、肝機能異常といった症状が現れる恐れがあるので、特に持病を抱えている方は注意してください。
リパクレオンの禁忌
リパクレオンは過敏症やブタたんぱく質に対して過敏症がある方の使用は禁止、妊婦は有用性がリスクを上回る場合にだけ使用を検討します。
また、授乳婦は治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮して授乳を継続するか中止するかを判断する必要があります。
低出生体重児と新生児を対象とした臨床試験は実施していないため、使用には十分に注意してください。
リパクレオンの販売中止の理由
リパクレオンカプセル150mgについて、一時的な需要増加によって安定供給に支障が生じる可能性があることから、販売元のヴィアトリス製薬は2024年6月に限定出荷を開始しました。
この限定出荷はその後も続いており、安定供給体勢を構築して生産効率の改善を図るために包装単位を見直すこととしました。
これにより、リパクレオンカプセル150mgの600カプセルと、リパクレオン顆粒300mg分包600包は在庫消尽時期とされる2025年3月頃を目安に販売中止となり、リパクレオンカプセル150mg120カプセルと、リパクレオン顆粒300mg分包が販売継続となっています。
このような限定出荷の影響を受けて代替薬のパンクレアチンやベリチーム、エクセラーゼなどを選択する方もいます。
膵臓に優しい生活を送るために
ここまでお話してきた高力価消化薬のリパクレオンは、膵臓の働きが低下して消化酵素を十分に分泌できないときに、食事の消化・吸収を助ける目的で使用する薬剤です。
リパクレオンを服用することで栄養状態や排便の改善が期待できますが、薬剤の力だけに頼るのではなく、膵臓をいたわって負担をかけないような生活を送ることも大切です。
ここでは膵臓への理解を深め、膵臓に優しい生活を送れるようなヒントを紹介していきます。
膵臓とは
膵臓は長さ約15cmの細長い臓器で、胃の後ろに隠れていて病気の発見が難しいことから別名「暗黒の臓器」とも呼ばれています。
炭水化物や脂質、タンパク質を分解する膵液が作られたり、ホルモンを分泌したりする働きを持つのが特徴です。
膵臓の病気
膵臓には膵炎や膵臓がん、糖尿病などの病気があります。
膵炎は急性膵炎と慢性膵炎の2種類があり、急性膵炎では膵臓が炎症を起こして上腹部や背中に強い痛みが走るのに加えて、発熱や嘔吐などの症状が現れることもあるのが特徴です。
この急性膵炎が繰り返されて膵臓が線維化して働きが低下すると慢性膵炎へと進行していき、消化・吸収ができなくなったり、糖尿病が悪化したりします。
膵臓がんは初期症状がほとんどないことから、病気が進行して黄疸や食欲不振などの症状が出てきて気づいた時には手遅れであることも多く、日本人のがんによる死因の4位となっている病気です。
膵臓がんの原因は明らかになっていませんが、糖尿病などの疾患を抱えていることや喫煙、飲酒、遺伝などが危険因子であると考えられています。
膵臓に優しい生活を送るポイント
膵臓の異常は見つけにくく負担をかけていることに気付きにくいため、身体に症状が現れた時には病気が進行して手遅れであることも少なくありません。
そのため、日頃から膵臓をいたわり、負担をかけないような生活を送ることが大切です。
まず、膵炎や膵臓がんの要因と考えられている喫煙とアルコール習慣を見直すようにしましょう。
例えば、10年を超えて1日3合以上の飲酒習慣があり腹痛が頻?に起こる場合は、アルコール性慢性膵炎の疑いがあるので禁酒をしましょう。
喫煙は膵臓がんに対して高い危険性があるのに加え、慢性膵炎の患者さんが喫煙することで膵臓がんを発症するリスクが上がるともされています。
他の病気の要因にもなり兼ねないので、できるだけ早く禁煙してください。
また、高脂質の食事や刺激の強い食事も膵臓に負担をかけます。
膵臓は脂肪を分解するリパーゼを分泌する臓器のため、脂質の多い揚げ物や脂の多い肉などを食べると膵臓が働き続けなければなりません。
同じ理由で、刺激の強い香辛料も消化液の分泌を促進させるため控える方がよいでしょう。
このようなことからも、食事は脂質の低い鶏ささみや豆腐などの消化のよいものを選ぶようにしてください。
これら日々の生活に加え、定期健診を受けることも病気の早期発見において重要です。
膵臓は見えにくい位置にある臓器ですが、エコー検査や血液検査で異常に気づけるケースもあります。
糖尿病を抱えていたり、腹痛があったりする時はもちろん、日頃から定期的に健康診断を受けるよう心掛けましょう。
消化薬リパクレオンは消化・吸収を助ける薬
高価力消化薬に分類されるリパクレオンはブタの膵臓から精製した膵酵素で、体内で食事の消化や吸収を助ける働きがあります。
炭水化物を消化するアミラーゼ、脂質を消化するプロテアーゼ、タンパク質を消化するプロテアーゼが含まれており、慢性膵炎や膵切除、膵嚢胞線維症などが原因で起こる膵外分泌機能不全を起こしている場合の膵消化酵素の補充に使用します。
リパクレオンにはリパクレオン顆粒300mg分包と、リパクレオンカプセル150mgの2種類がありますが、リパクレオンカプセル150mgは一時的な需要増加によって安定供給に支障が生じる可能性があることを理由に出荷調整を行っています。
また、膵臓は異常を発見しにくいことから暗黒の臓器とも呼ばれているため、できるだけ負担をかけないような生活を送ることが重要です。
禁煙・禁酒に加えて脂肪の多い食事を控えて、膵臓に優しい生活を心掛けましょう。